美術館で石田さんの作品を観賞してから興味を持ってきましたが、すでに2005年5月23日に鉄道事故で逝去されており(享年31歳)、続作を望めないのが痛ましく感じられます。
石田さんの遺作集は2006年に発売していますが、本書は逝去されて5年後の2010年に発行されました。残された作品の整理もついたのでしょう、スケッチも含めて手元に残された作品も含めて全217作品が所収しています。
全作品を眺めている内に辛くなってきました。時代の閉塞感をトロニーとも言える自画像のように感じられる人物で表現しています。ほとんどの作品は無題ですが、常にある男性をモティーフにして、石田さんが生活のためにアルバイトをしていたコンビニ、道路工事現場、そして自室の一こまも舞台にして描いていました。
彼の死後、テレビ、雑誌、新聞でも取り上げられ、出身の静岡を中心に個展が開かれたこともあり、多くのファンが死後、彼の作品を愛しているのです。イラストレーションのような画風は一見してシュールリアリスムの流れを受けているような雰囲気が伝わってきますが、彼の心の叫びが伝わってくる作品群です。もっと深い心理描写が明確に感じられました。
現代の厳しい生活環境の中、画家としての豊かな才能は生前は認めらませんでした。グループ展や個展も開いていましたし、入選も果たしていますが、それでも中央画壇から評価されなかったのは気の毒としか言えません。
静岡県立美術館主任学芸員の堀切正人氏の「石田徹也とその時代」に彼の生涯や作風、目指した方向性が詳しく記してありましたが、外国でも評価されている現在の注目度を彼の元に伝えられれば良いのにと思うほどです。
全作品ともその大きさや画材が書かれあり、何れもかなり大作なのを知りました。解説や奥付も含めて全ての文章に英文併記でされていますので、欧米での評価が高まれば良いのにと願っています。