人の強すぎる思いは鬼にもなり、悪霊にもなり、妖怪にも
なると言われる。
死後人が妖怪化するといえばとかく、妖怪退治をイメージしがち
だが、この物語は少し毛色が異なる。
望んで妖怪になった人ばかりではない。切ない思い、残された者
への思い、そんな気持ちを抱えて妖怪になった人達の話が描かれる。
ちなみに主人公はバリバリの引きこもり派。
家賃は払わないわ、ちょっとの外出で息を切らすわ、あまり友達に
なりたくないタイプ。
それがひとたび事件となれば、人を助け妖怪を助け、隠された真実を
暴きだしていく。その姿に周囲は引き込まれるのである。
「送り狗」の話は、子を残して逝った親の、暴走する思いに胸を
うたれた。
妖怪が好き好んで人を傷つけるわけではない。
そうなったのには必ず理由がある。
この作品はそっと語りかけてくる。