ワールドユース・アルゼンチン大会で、金髪をなびかせて
風のように走る日本の10番が、気にならずにはいられなかった。
それが当時の石川ナオで、彼はマリノスに在籍しながらも
出番に恵まれない不遇の時期を過ごしていた。
自分がナオに着目したのと同じ大会を見ていた原博美氏が
ナオをレンタル移籍で獲得、FC東京に加入し今に至る。
・・・と文字にするととても平坦だが、その風貌や人柄とは
似つかないくらい、苦難の連続で、それを乗り越えてやってきた。
どんな難題と直面しても、ナオはひるまず立ち向かい、
いつも努力を重ねて乗り越えてきた。
その軌跡をたどる本書は、ナオファンのためだけの本ではなく
サッカーを愛する人、またサッカー少年の親御さんらにとって
石川直宏というひとりの男の生き様が痛いほどに伝わるだけでなく、
プロサッカー選手という過酷な職業の実状を知る一冊でもある。
彼らプロ選手が日々、どんなことを考えながらボールを追うのか、
手に取るように伝わってくると思う。
また、ぜひともサッカーに興味のない子供たちや
自らの進む道がまだ決まらない、と思っている方々にも手にとってほしい。
信じたからってすべては必ず叶うわけではないと思うけど
強く信じて強く願って、努力を重ねると、ナオのようになれるんだと
感じていただけるのではないかと思う。
ナオが「平常心」に至るまでの道は、あまりにも回り道・遠回りだけど
その分、誰よりもしなやかでやさしい人になれているようにも思う。
ぜひあの爽やかな笑顔の奥底にある情熱を感じていただきたい。