石原慎太郎を礼賛しているような謎の家庭、石原家。しかし、中でも有名な3人はいずれも個性豊かだ。筆者良純を除けば、上下とも、なんとも頼りないモヤシのような息子。良純のような「オチこぼれ」よりも親に従順で「親の期待を裏切らなかった」であったろう彼らが、なぜモヤシに成り下がったのかがわかる。良純は石原家の日常を普通に書き下しているようで、実はその独裁者に対する非常に辛辣な非難を潜ませている。国土交通大臣として結局なにをやったのか終始わからなかった息子、親に頭を下げてもらってなんとか政治家になれた息子、そして芸能界入りしながらどうにも親の届かない範疇で苦悶し、結局石原家を脱することで気象予報士・芸能界で返り咲いた息子。親の管理は行き届きするとかえって息子がダメになるというのは非常にいい教訓だ。「なんでも偉大な父を持つと息子が苦労するようで」という石原慎太郎の反省(?)の弁が反芻される。この本は世間に露呈しない異質な空気を醸し出す石原帝国を家族内の手記として世間に知らしめた立派な内部告発本である。