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「はじめ」は、いたずらの犯人として勝手にでっち上げたはずの「悪ガキ」がいつしか存在し始めちゃう話だし、「BLUE」はぬいぐるみが歩いて喋る話、そして「平面いぬ。」は、タトゥーの犬が体中を動き回っちゃう話です。どれも、一見誰もが考え付きそうな、あるいは考えたことがあるかもしれないようなネタです。でも、それを乙一が料理すると、こんなにも切ない、そして最後には思わずジーンとしてしまう話が出来上がっちゃうから不思議。これぞ正に乙一マジック!
この本に限らず乙一の作品の多くは、読後、心の薄皮をすうーっと剥いてもらったような、そんな気持ちにさせてくれます。語り口は淡々としていて無駄がなく、ヘンに感動を煽るような描写など決してありません。それなのに、本当に大事なところでは心のツボをキチンと押してくれるのです。この心地良さが、乙一作品の最大の魅力、そして魔力の一つだと言っても良いでしょう。この感覚、一度味わったが最後、止められなくってしまうはずです。
でも、それもまた良いかもしれません。心の薄皮は、放っておくとすぐにまた付いてしまうだろうからです。
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