「石の微笑」は庭に飾ってあった石像のフローラ(恋人センタを重ね合わせている)に対する主人公の想いを見事に表した邦題だと思う。ルース・レンデルのイギリスのサスペンス小説の原題は「THE BRIDESMAID(花嫁の付き添い)」で、恋人センタとの出逢いが彼女が妹の結婚式の付き添いだったことを直接的に表現しているだけで、邦題の方がミステリアスだ。
主人公の石像に対する想いがフェティシズムっぽかったりするところや、強引でミステリアスな恋人(LAURA SMET)の微笑が石像の冷たい笑みと重なるところから邦題の「石の微笑」は見事に表している。
決して美人ではないが、どこかミステリアスで狂気な雰囲気も併せ持っている恋人役のLAURA SMETの迫真の演技は観る者を画面にくぎ付けにする。彼女の名演があるからこそ狂気のラストが活きていると思う。ヌーベルバーグのクロード・シャブロルの演出は気取らず丁寧で最初から最後まで展開を魅了する。ただ、ラストに出てくる腐乱した死体をなめまわすように写し出すのはハリウッドの刺激重視の影響か?また、ところどころに出てくるユーモアを交えた演出も鼻につくところがある。
狂気の女を演じたローラ・スメ(LAURA SMET スメットと書いてあることが多いが、Tは発音せずスメだと思う)はヌーベルバーグの作品に多く出演した女優ナタリー・バイとフランスの国民的歌手のジョニー・アリディの娘。SMETは父親の本名らしい。どおりで、作品中のオーラは両親譲りとしか思えない。彼女がいなければこの作品は成り立たないぐらい存在感がある。そんな、女優の魅力が活きる作品だ。