日本推理作家協会賞 短編賞受賞作。昭和51年から昭和57年までの7作品が収録されている。
本全集の魅力の一つである山村正夫氏の解説によると、短編は長編よりの厳選しているゆえ、受賞作がない年があるそうだ。江戸川乱歩賞と違って、登竜門的な側面がないから、本当に良質の作品が選ばれるんだなぁ。なるほど、本作に収録されている7編は傑作ぞろい。読後、思わず唸ってしまうのは、作者の実力を示すところなのだろう。それぞれ、各作者の作品集でも読めるようなのだが、初読の阿刀田高「来訪者」、仁木悦子「赤い猫」が面白かった(再読したものも、もう一度傑作であることは、認識したんだけど)。
■来訪者
裕福な真紀子の家を訪ねてきた初江。初江は真紀子の産後の雑役婦だった。なれなれしく赤子に接する初江に不快感をもつ真紀子は、適当にあしらって追い出すことに。その直後、警察が真紀子を訪ねてきて、驚くべきことを告げるのだった ・・・ なんと恐ろしい結末!
■赤い猫
素封家 郁の話相手として雇われた失業中の多佳子。気難しげな主人と対話をするうち、自分の母親が殺害された過去を打ち明ける。郁は、事件の真相を推理すべく、多佳子に聞き込みを指示するのだった ・・・ 温かい気持ちになる安楽椅子探偵もの
その他の作家陣と作品は以下のとおり。
戸板康二「グリーン者の子供」/石沢栄太郎「視線」/連城三起彦「戻り川心中」/日下圭介「木に登る犬」・「鶯を呼ぶ少年」