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短くて恐ろしいフィルの時代
 
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短くて恐ろしいフィルの時代 [単行本]

ジョージ・ソーンダーズ , 岸本 佐知子
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

あまりに小さい内ホーナー国とそれを取り囲む大国・外ホーナー国。国境侵犯を巡って次第にエスカレートする迫害が、いつしか国家の転覆へと繋がって……。抱腹絶倒のユーモアで壮大なテーマに挑む異形の問題作!

内容(「BOOK」データベースより)

小さな小さな“内ホーナー国”とそれを取り囲む“外ホーナー国”。国境を巡り次第にエスカレートする迫害がいつしか国家の転覆につながって…?!「天才賞」として名高いマッカーサー賞受賞の鬼才ソーンダーズが放つ、前代未聞の“ジェノサイドにまつわるおとぎ話”。

登録情報

  • 単行本: 143ページ
  • 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011/12/22)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4047916447
  • ISBN-13: 978-4047916449
  • 発売日: 2011/12/22
  • 商品の寸法: 19.7 x 13.9 x 2.5 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 34,454位 (本のベストセラーを見る)
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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By hp トップ500レビュアー
Amazonが確認した購入
ジェノサイドを描いた寓話を書きたかった--一言で説明するなら、この作者の言葉を引用するしかないという内容です。
イソップや中国の故事のように、シンプルに端的に、それでいて含蓄ありげにストーリーは進んでいきます。

これだけなら、ざっと読んで内容を理解したら終わりのただの大人の寓話ですが、それとわかっていながらも実に面白く読めます。

スクラップで作ったロボットのような登場人物たちという、本来アニメや絵本、コミックに向きそうな世界を敢えて文章で表現しているからか、頭の中に次々浮かぶ映像がそれだけでもかなり読み手を惹きつけます。それが実に笑えるし、物悲しい。最初からお手盛りの絵を見せられるよりはるかに効果的です。読んでいる短時間のうちにどっぷりはまってしまいました。

この作品は本来長編だったのを中編に刈り込んだとのこと。寓話としての完成度は刈り込むことで格段に上がったはずだと容易に推測されますが、完成度を犠牲にしてでも長編にしてくれていたら、この登場人物たち、彼らの暮らす世界ともっと長くつきあえたのにな...と、それを残念に思ってしまうくらいです。
フィルの時代が終わったあとの、この世界の右往左往も別の作品で書いてくれたらこの希望も満たされるのですが。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
 内ホーナー国は国土があまりに狭く、国民は一度に一人しか身を置くことができない。それを取り囲む外ホーナー国の人々は内ホーナーを侮蔑的に眺めていたが、特に野心家の外ホーナー人フィルは、内ホーナー国に苛烈な税金を課すことを提案し、あげくの果てに税金を払わない内ホーナー人を解体しようとする…。

 CSチャンネルの書評番組『AXNミステリー BOOK倶楽部』で豊崎由美が強く推奨していたのをきっかけに手にしました。

 なんとも奇妙キテレツな設定の二つの国の国民たちは、機械と植物とが接合したこれまた奇怪な姿かたちをしています。そして外ホーナーが内ホーナーを不当に差別し、やがてジェノサイドへと発展していく様は、人類が何千年もの間反復してきた、偏狭で頑迷な民族間闘争の寓意の物語として読むべきでしょう。
 反ユダヤ政策を極限まで推し進めたナチス。ルワンダのツチ族とフツ族との対立などなど、例をあげればきりはありません。

 そんな現実世界の埋めがたい対立をこうした浮世離れした物語に落とし込んだものといえば、一番に類似したものとして心に思い浮かべるのはジョージ・オーウェルの『動物農場』のこと。と考えたのはどうも私だけではなかったようです。訳者あとがきによれば、この小説が書に出た当初はオーウェルの書いた寓話を引き合いに出した書評が多く見られたのだとか。

 30年前に読んだ『Animal Farm』を久しぶりに読み返してみたくなりました。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
こんなに軽やかで楽しく、そして考えさせられる本は久しぶりだった。内ホーナー国と外ホーナー国の対立の物語。外ホーナー人のフィルという抜け目のない男があれよあれよという間に独裁者になり、寄る辺なき身になってしまった内ホーナー人を粛清にかかる。内容はシビアで世界で現在進行中の地域紛争を惹起させるが、登場人物が機械のような想像上の生き物で、ユーモラスでもあるがグロテスクでもあり、リアリティーは多少軽減されている。初めはおとぎ話のように展開するが、だんだんと恐ろしさが迫ってくる。世界的な景気低迷が続き、情報過多の現代では、この手の紛争は、規模の大小を問わず、起こりそうだなあと思わせる。正義の追求だけでは、生きにくい人間社会の複雑さが身に沁みる。
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