内ホーナー国は国土があまりに狭く、国民は一度に一人しか身を置くことができない。それを取り囲む外ホーナー国の人々は内ホーナーを侮蔑的に眺めていたが、特に野心家の外ホーナー人フィルは、内ホーナー国に苛烈な税金を課すことを提案し、あげくの果てに税金を払わない内ホーナー人を解体しようとする…。
CSチャンネルの書評番組『AXNミステリー BOOK倶楽部』で豊崎由美が強く推奨していたのをきっかけに手にしました。
なんとも奇妙キテレツな設定の二つの国の国民たちは、機械と植物とが接合したこれまた奇怪な姿かたちをしています。そして外ホーナーが内ホーナーを不当に差別し、やがてジェノサイドへと発展していく様は、人類が何千年もの間反復してきた、偏狭で頑迷な民族間闘争の寓意の物語として読むべきでしょう。
反ユダヤ政策を極限まで推し進めたナチス。ルワンダのツチ族とフツ族との対立などなど、例をあげればきりはありません。
そんな現実世界の埋めがたい対立をこうした浮世離れした物語に落とし込んだものといえば、一番に類似したものとして心に思い浮かべるのはジョージ・オーウェルの『動物農場』のこと。と考えたのはどうも私だけではなかったようです。訳者あとがきによれば、この小説が書に出た当初はオーウェルの書いた寓話を引き合いに出した書評が多く見られたのだとか。
30年前に読んだ『
Animal Farm』を久しぶりに読み返してみたくなりました。