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知財、この人にきく (Vol.1)
 
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知財、この人にきく (Vol.1) [単行本]

丸島 儀一
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

発明協会が発行している月刊誌「発明」(2007年7~8月号)で掲載した丸島儀一氏への独占ロングインタビューの内容を完全収録。
企業活動における知的財産の本質とは何か、知財の本来の目的とは? 中小企業が大企業に対抗するための方策や手段とは? 権利行使する場合、された場合の対応とは? 契約とネゴシエーションの極意、知財人材の育成など、「知財界のカリスマ」である丸島儀一氏が本書でお応えします。

出版社からのコメント

本書は、丸島儀一氏(キヤノン株式会社 顧問/弁理士)と富岡康充氏(有限会社オフィス富岡代表取締役社長)の対談形式で非常に読みやすくなっています。
当初は、月刊誌「発明」という雑誌の特集記事として企画がスタートしたのですが、文字数に制限がある雑誌では、丸島先生に語っていただいた濃密な内容を読者に伝えることが果たしてできるのか? ということで、この度、完全収録版として本書を発行することになりました。
丸島先生が語る知財の本質は企業の大小や業界を問いません。
知財関係者をはじめ、経営者の方々にもぜひお勧めしたい一冊です。

著者からのコメント

知財立国を掲げて制度、運用の改革が進められてから5年余り経過いたしましたが、知識、意識は普及されたもののいまだ多くの中小企業のみならず大企業においても真の知財経営を営んでいる状況ではないように感じられます。
変動の激しい経済環境の変化に基づく経営環境の厳しさがそうさせているものと思います。
知的財産を資産として直接活用し資金を得ることを推奨する人もいると思いますが、日本の知財立国はあくまでもものづくりに基づく知財経営を重視することが大切だと思います。
本書はものづくりの一企業で私が実践した知財の創造、保護、活用で事業を強くする知財活動を中心に知財からみた知財経営の考え方をご紹介したものです。些かでも知財経営のご参考になれば望外の喜びです。

著者について

丸島 儀一 (まるしま ぎいち) キヤノン株式会社 顧問/弁理士
1934年生まれ。1960年にキヤノンカメラ株式会社(現・キヤノン株式会社)入社。知的財産、製品法務、役員時代には研究開発、新規事業育成本部長も担当。常務取締役、専務取締役、特別常任顧問を経て、2000年から顧問に就任。
1962年当時、普通紙複写機の「キヤノン対ゼロックス紛争」における丸島氏の活躍はNHKの「プロジェクトX」でも取り上げられた。
日本特許協会 理事長、(社)日本経済団体連合会産業技術委員会知的財産問題部 会長、日本弁理士会 副会長、早稲田大学 客員教授など、各種団体の知財関連の要職や委員を歴任。
1993年、工業所有権制度関係功労者表彰において通産大臣(現・経済産業大臣)表彰受賞、2003年、黄綬褒章受章。
現在、産業構造審議会 委員、知的財産保護協会 副会長、(財)知的財産研究所 理事、(社)日本仲裁人協会 理事、日本弁理士会知的財産価値評価推進センター 所長、日本知的財産仲裁センター 運営委員、中小企業知的資産経営研究会 委員、金沢工業大学 教授、東京理科大学専門職大学院総合科学技術経営専攻 客員教授、日本工業大学専門職大学院 客員教授、早稲田大学商学研究科 非常勤講師、日本弁理士会知財ビジネスアカデミー講師等を務める。

抜粋

富岡...はじめに「知財の本質と中小企業のとるべき道」というテーマについて、丸島先生にお話をお伺いしたいと思います。よく先生は、ネガティブには「知財部は知財部のための仕事をしてはいけない」また、ポジティブには「技術、事業、知財の三位一体のなかでの協調連携」の必要性をおっしゃっておられます。これらのお考えは中小企業にもそのまま当てはまると思うのですが、まずは中小企業の知財というものに対する先生のお考えをお聞かせ願えればと思います。

丸島...分かりました。実は、中小企業も大企業も知財の基本は同じなのです。何が違うかというと、一言でいうと資金力ですよね。それで、知財というのは本当に勝とうとしたら、勝てるだけのところまで仕事をしないと効果が出ないのです。資金がないからここでやめますというと、結局効果が出なくなってしまう。それが非常にもったいないと私は思うのですね。では、資金がなかったらどうするのか? 後でも述べるでしょうが、他人の力を借りればいいのです。ですから、まずは社長さんが知財の本質をよく理解したうえで、勝つためにどうすればいいかと考えることが基本なのです。
 ではなぜ、勝つまでの仕事が大変なのか。ご承知のように特許の本質は実施権ではなく排他権ですよね。排他権であるがゆえに、皆さん自分の特許の排他権ばかり考えるけれども、他人の特許の排他権を考えない人が多いじゃないですか。特許を取得してどれだけの効果があるかということは、他人の排他権に影響されているかどうかを、まず確認することが絶対必要です。中小企業の場合、それを十分にやられてない場合があるでしょうね。技術を本当に特許権で守っていこうとしたら、1件の特許だけ取得したとしても、その後、どんどん他人が先に排他権を取ってしまえば、他人に妨害されて、結局自分の目指した技術の実施ができなくなってしまう。そこのところをよく理解して、どうやって勝つのか、どうやってどこにどれだけ力を入れて、自分でできないところは他人の力を借りて、というところを考えなければいけないですね。
 資金に限界があるというなら、自力だけじゃできません。もし自力でやれる範囲でということなら、一つは対象をうんと絞ってピンポイントで勝つ、という方向を出す。全面戦争で勝とうとしたら相当資金が要るのですよね。ここの問題が私は一番大きいのかなと思うのですよ。
 いずれにしても、特許があるから勝つのではなくて、もとに技術がなければダメなのです。そして、その技術を守るのが特許であって、その守り方を間違えて守りきれなかったら、結局大事な技術を他人にとられてしまうのです。まずは、こういう特許の本質をちゃんと理解する必要があると思います。
 また、これは特に中小企業をみていて一番感じるのですが、契約の力が弱い。これは特許権だけでなくノウハウも含めてですが、例えば、どこかの会社とアライアンスを組むとか、あるいは仕事で連携するとか、そのときに必ず契約を締結します。その契約書を読んで、自分が損するのか得するのかという見分け、判断ができないところで結構損をしていると私は思うのです。ですから、中小企業にとってもう一つ大事なのは、契約の理解力と交渉力なのです。この契約を見て何がまずいか、そこを見抜くだけの力がないと契約でいいとこを持っていかれてしまうのです。
 私も正直言って、キヤノンで4人の部隊で始めたときは、大会社とは契約関係で頻繁に交渉しましたよ。いかに大会社が横暴かと......(笑)。

富岡...先生、すみません。それはキヤノンさんが、大会社じゃなかった時代の話になるんですね?

丸島...そうです。大会社じゃないといっても1000人程度の会社でしたね。下丸子の一角に全員がいて、全員の先輩の顔が分かるような、そんなちっぽけな会社だったですよ。そういう時から知財をやっていて一番悩んだのは、契約なのです。ですから、契約でいかに損しないようにするか、ということがものすごく大事だと分かったのですね。例えば、大会社から共同開発をやりましょうとか、あるいは外注委託を受けたとか、そのときに、その契約の文言を確認してみると、こちらの技術が持っていかれてしまうようになっている。自分の技術を、多少お金をもらったとしても、大事な技術を持っていかれるというのはおかしいと、随分と反抗したものです。しかも、技術を持っていかれたうえに、発注は大会社の系列のところに出されて、自分の会社には発注されないとしたら全く先がない。

富岡...全く、先生がおっしゃっている事業のための知財にならないですね。

丸島...そのとおりです。冒頭の「知財のための知財の仕事をするな」というのはまさにそういうことなのです。要するに事業を強くするための知財じゃないですか。私は事業の集合が会社だと思っていますが、一番小さい会社は一事業しかないから事業イコール会社ですよね。だから一事業しかない中小企業だったら、会社を強くするため知財でしょ。事業を強くしないような仕事っていうのは知財でやってはいけない。一時の金のために動いても、先々損するようなことはやってはいけないというのを、理屈ではなく実践体験から学んだのですよ。

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