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5つ星のうち 3.0
テーマは刺激的、でも扱い方は一面的,
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レビュー対象商品: 知識人と大衆―文人インテリゲンチャにおける高慢と偏見1880‐1939年 (単行本)
本書の主な主張は、「モダニズム文学および芸術は十九世紀の教育改革によって生み出された空前の大読者層に対する敵対的な反応である」云々、つまり、知識人が自ら捏造した「大衆」なるものに対して、「ちょっと位字が読める様になったからといっていい気になるな。どうだ、俺の書いたものが理解出来るか。ざまぁみろ」と言いたいが為のものだったと云うもの。度々言及されているニーチェを代表格として、この時代の知識人のエリート/貴族志向や大衆嫌いは周知の事実なので、今更驚く様な話題かとも思うのだが、余り知られていないものも含めて諸々の文芸作品をこうした側面からいちいち読み換えているので、具体例を幅広く知ると云う意味では得る所が無い訳でもない。しかし大半は大衆嫌悪の功罪の罪の部分だけをひたすら弾劾することに終始し、それぞれの作家の別の側面については全く無視してしまっているので、その所為で却って現代の読み手に訴えて来る迫力に欠けてしまっている所がある。H.G.ウェルズに関しては二章を割いてその大衆に対する態度の二面性を分析し、ベネットに関しては仲介者的な点を好評価しており、鋭い分析も見られないことはないが、テーマ自体の面白さに比べて扱い方が些か限定されていて、まだまだ消化不良と云う印象が残ってしまう。文章は才気に溢れてはいるが、もう少し手を広げて別の面からも突っ込んで議論してくれないことには、「ふーん、そう。で?」で終わってしまう。但し逆に言えば、そうした限界を了解した上で読んでみれば仲々に面白い。 それから、私は普段翻訳の出来不出来については余りうるさいことは言わない方なのだが、本書に関して言えば、この値段でこの杜撰さはちょっとどうかと思う。最低限表記や言葉遣い位は統一して欲しいと思うし、明らかに内容を理解していない儘訳したと思われる箇所も散見する。邦訳リストに至っては穴だらけどころか間違っているものさえある。訳者がいちいち該当分野に精通している必要はないとは思うが、せめてもうちょっと丁寧にやって欲しい。
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