経済や情報のグローバル化など企業を取り巻く環境が大きく変わりつつある中、今後の企業経営のあり方を示唆してくれる一冊
市場の境界の消滅、既存市場の枠を超えた劇的変化、予測不可能な競争相手、新たな消費者意識の台頭などが進む中、コモディティ化する製品は価値を生まなくなり、モノやサービスを単体で提供していては、成長も利益も生み出せない時代になりつつある。
本書の言うところの知識デザインとは「つなげること」、すなわち、ハード、ソフト、サービス、ビジネスモデル、これらすべてを上手に組み合わせ、一つの世界を創り上げることである。
一方、日本企業に欠けているものは、多様な要素、離れた問題、バラバラに存在する知をネットワークし、統合して新たな価値を生む能力とも指摘
アップル社が優れていたのはこのようなブリコラージュの能力だと思う。
これらを踏まえた上で、我々に必要な能力は、「全体を俯瞰する視点」、「世の中の多様な事象や現象、大量の情報や知識の中から、人々を幸せにし、楽しませ、豊かにそして知的にする方法を読み取る能力」、「将来の変化に対する感受性と未来への視点」、「仮説推論的アプローチと経験の重要性」、「消費や生活をデザインする生活哲学を持つこと」である。
そして、これらを創り出すのは、他でもない従業員一人ひとりであり、経営者は彼らに対する敬意と真摯な態度を忘れてはならず、人を軸に置いた経営が重要と説く。
こうした取組みを実践している企業として、ヴァージングループ、サムスン、アップル、カンペール、ディスコなどの事例を挙げている。
これからの経営を考えていく上で、本書は新たな視点を得られるところが多く、読んで損はないと思います。
関連書籍として、「ハイコンセプト」(ダニエル・ピンク)、「花を売らない花売り娘の物語」(権八成樹)、「MBAが会社を滅ぼす」(H.ミンツバーグ)、「イノベーションのジレンマ」(クレイトン・クリステンセン)を紹介しておきます。