本書は、第二次世界大戦後(1948年)にフランス国民向けに国営放送で全国放送されたラジオ番組「フランス文化の時間」でのメルロ=ポンティの語りをまとめた著作の邦訳版である。「The World of Perseption」という題で英文にて公開されていたが、邦訳が待たれていた。その内容は全7章にわたり、メルロ=ポンティがラジオで語ったままの「肉声」として閲覧できる。広く国民に向けての語りであり、平易なことばで仕上げられている。しかし、その平易な言葉で語られる内容は、当時の(フランス国内だけでなく)哲学に対する痛烈な切り込みであり、またやがて開かれるであろう明らかなる未来に向けての自信に満ちあふれた宣言でもあるように読み取れる。訳者の菅野盾樹氏の解説も丁寧に書かれていて、メルロ=ポンティ初学者でも読み込みやすい。また、訳者のブログでの本書への記述「解説にかえて」も合わせて一読されることをお薦めする。http://d.hatena.ne.jp/namdoog/20110710