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知覚の哲学: ラジオ講演1948年 (ちくま学芸文庫)
 
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知覚の哲学: ラジオ講演1948年 (ちくま学芸文庫) [文庫]

モーリス メルロ=ポンティ , Maurice Merleau‐Ponty , 菅野 盾樹
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 1,575 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

『行動の構造』と『知覚の現象学』によって、フランス哲学界に確乎たる地位を占めたメルロ=ポンティは、自らの哲学を語るラジオ講演(1948年10‐11月)を行なった。時代が大きく動くなか、それまでの価値観は新しい世界観へと変貌する。メルロは、文学・美学・科学・心理学・哲学史などをも考察の対象とし、哲学の志向性は意識から身体へと大きく転身して「存在論的転回」を遂げたことを宣言する。本書はその記録であり、メルロ哲学の核心をメルロ自身が縦横に語った刺激的な書。訳書による丁寧な解説は、メルロ哲学後期の主著『見えるものと見えないもの』読解への道筋を与える。本邦初訳。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

メルロ=ポンティ,モーリス
1908‐61年。高等師範学校卒業。実存哲学、現象学的思想を代表するフランスの哲学者。人間の行動、身体、言語、藝術などについて深い哲学的洞察を示し、さまざまな文化領域にいまなお大きな影響を及ぼし続けている。サルトルとともに雑誌『レ・タン・モデルヌ』を創刊し、多くの政治的発言も行なう

菅野 盾樹
東京大学人文科学研究科博士課程単位取得退学。現、東京工業大学世界文明センター・フェロー、大阪大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 425ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2011/7/6)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4480093893
  • ISBN-13: 978-4480093899
  • 発売日: 2011/7/6
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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Amazonが確認した購入
本書は、第二次世界大戦後(1948年)にフランス国民向けに国営放送で全国放送されたラジオ番組「フランス文化の時間」でのメルロ=ポンティの語りをまとめた著作の邦訳版である。「The World of Perseption」という題で英文にて公開されていたが、邦訳が待たれていた。その内容は全7章にわたり、メルロ=ポンティがラジオで語ったままの「肉声」として閲覧できる。広く国民に向けての語りであり、平易なことばで仕上げられている。しかし、その平易な言葉で語られる内容は、当時の(フランス国内だけでなく)哲学に対する痛烈な切り込みであり、またやがて開かれるであろう明らかなる未来に向けての自信に満ちあふれた宣言でもあるように読み取れる。訳者の菅野盾樹氏の解説も丁寧に書かれていて、メルロ=ポンティ初学者でも読み込みやすい。また、訳者のブログでの本書への記述「解説にかえて」も合わせて一読されることをお薦めする。http://d.hatena.ne.jp/namdoog/20110710
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
本書に展開されたメルロ=ポンティの構想の大きさに読者は胸うたれるのではなかろうか。この小冊子につめこまれた哲学思想の(質的な)ヴォリュームが圧倒的なのは誰にも否定できない。本書のもとの題名は「連続講演 一九四八年」というそっけないものだが、訳者は本書のタイトルを「知覚の哲学」としている。こうしたタイトル命名の理由は「訳者解説」で詳しく述べられているが、訳者による詳しい注とラジオ講演のテクストを併読することによって、読者は、本書を(主として現象学的伝統に立つ)現代哲学への入門書としても読むことができるだろう。そればかりではなく、本書は、メルロ=ポンティ哲学が将来に豊かな可能性をはらむことを実感させてくれる。これこそが本書の最大のメリットではないだろうか。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By T.Y.
Amazonが確認した購入
「身体性」というキーワードが、僕の専門領域である建築実務の世界でも、大きくクローズアップされるようになってきた。そうなると、どうしても気になってくるのがメルロ=ポンティの仕事だろう。
手に取ったのは、1948年にメルロがラジオにて講義を行った内容に、その数倍の注釈が付加された「知覚の哲学」。まずはメルロの語った本文部分を読み、解説をブラウジングしてみた。

のっけから面白い。ラジオ講座だけに、分かった気にさせてくれる明瞭な言い回しだ。知覚された世界に先立ち科学的な真実があるとする立場をバッサリと切り捨て、科学的世界観が、「いつでも実際の自然現象より単純な図式、一言でいうと近似的認識」であり決してそれが事実そのものではないことをズバリと指摘する。さらにこう続ける。「法則とは物理的出来事の近似的表現にすぎず、出来事の不透明さはいつも残ります。現代の科学者は、古典時代の科学者のように、事物の革新、事物のそのものに到達するという幻想をもう抱いていません」。60年以上も前に、未だ、多くの人々にとっては科学こそが真理そのものと捉えられている現状を予感したかのような逆説的な発言がなされている。さすがに、脂がのった時期の仕事は、恐れを知らず、切れ味が良い。仕事の切れ味は、やはり歳を重ねることに代わるものなのだな、などと感じつつページをめくる。

こうした視座が現代芸術と現代思想が切り開いたものであるとしつつ、相対性理論、非ユークリッド幾何学、セザンヌの作品を例にとりながら、知覚世界へと切り込んでいく。そしてその知覚は、我々の身体性特殊性に深く関与していることを指摘し、外部のあらゆる存在物は、「ただ私たちの身体を通じで把握できる以外にはない」と言う。
さらに、レモンや蜂蜜を例にとり、色や形や味といった性質は、独立しては存在しえず、全てが「ほかの感覚のさまざまな性質に開かれ」、身体を通じて個々の性質は密接不可分に知覚されるものであることを指摘する。ただし、事物のアイデンティティ(統一性とか自己同一性とメルロはいっている)は、事物のさまざまな性質の背後にあるのではなく、資質の一つ一つが事物のアイデンティティを語り、「それぞれの性質はそのまま事物全体に匹敵」すると言っている。全く面白い指摘だ。ホログラフィックな世界観と言えるかもしれない。この世界観への目覚めこそが、メルロが「知覚的世界の目覚め」をよぶものなのだろう。

感覚的であることを嫌って、純粋な世界や事物へ迫ろうとしても、所詮は制限された観点、感覚からしか事物を捉えることはできず、そこには必ず身体的なものの介在がある。空間や事物と我々の関係には、純粋な関係などはあり得えない。同時に、科学的なる認識も否定されるべきものではなく、むしろ知覚の一つの形式であり、それゆえに等価に位置付けられるべきものと言っているようだ。身体性を通して垣間見る謎めいた世界のそれぞれと、科学的なる認識の間には、両義的な関係が成り立ってしまうということなのだろうか。
未だ建築、特に大型建築を計画するうえで支配的な機械論的な計画手法を乗り越え、忌み嫌われる恣意的なるものの新たな解釈のためには、やはりメルロの身体論や知覚論は貴重な視座を与えてくれそうだ。

久々に、解説を含めて時間をかけて熟読したい本に出会った。
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