読みはじめてすぐに感嘆したのは、「ちっとも古くない」ということです。
本書が発売された1977年を和暦になおすと昭和52年です。当時、ケイタイもインターネットも無いのはもちろん、ワープロもパソコンもまだ発売されていませんでした。紙媒体で手に入れた情報を保存、整理しようと思えばスクラップブックを使うのが当たり前で、やっとコピー機が普及してきたころです。
この本が古さを感じさせない理由は、最近読んだ本と共通する内容をいくつも見つけたからです。
たとえば、外山氏は睡眠の効用を次のように述べています。
眠りは肉体の疲れを休めるのはもちろんだが、頭の中の整理をする
時間でもある。目をさましている間に入ってきたおびただしい情報、
刺戟が仕分けされて、当面不要なものは忘れるルートへ載せられる。
茂木健一郎さんの本で同じことを知ったのはつい最近でしたが、脳科学が注目を集めていない30年前に、サラッと教えてくれていたのです。
茂木健一郎さんつながりでいうと、「セレンディピティー」という、茂木さんがよく使う言葉も出ていました。当時から科学者には親しまれている日常語のひとつだとか。
次は、散歩の効用について。
散歩という言葉はぶらりぶらりのそぞろ歩きを連想させるが、それ
ではカタルシスはおこりにくい。相当早足に歩く。はじめのうち頭
はさっぱりしていないが、20分、30分と歩きつづけていると、霧が
はれるように、頭をとりまいていたモヤモヤが消えていく。
おお! 『脳が悦ぶと人は必ず成功する』で佐藤富雄さんが言ってたことと同じじゃありませんか。
2年前に出した同じ外山氏の復刻版『思考の整理学』は50万部のベストセラーになったそうです。
いろんな気づきを与えてくれる今度の『知的創造のヒント』も、きっと多くの人に支持されるでしょう。