知能を研究するに当たって「米国中の人がおまえを憎む」と著者は友人から忠告されたと本書にあるとおり、知能に関する研究は社会的に微妙な研究テーマと言えます。知能という言葉時代は曖昧な概念であり、研究者によって様々な定義がなされています。知能研究の黎明期にスピアマンによって提唱された、知能全般の基礎をなす指標としての一般因子gについては論争があるところですが、本書では最新の神経科学の知見などからその「g」に迫っています。
では「g」とは何か。それは、ある問題が提起されたときに適切な目標を設定し、その目標を目指して思考と行動を緊密に連携させていくことである、というものです。単に個別に明確に定義された問題を素早く解ける能力ではありません。人工知能との対比においてそれが明確にされています。
著者も度々述べているように、知能について未だ解明されたとは言いがたい状況です。本書では、社会的な論争になりがちな知能研究について、あくまでも科学的に知能を解明しようという、その道筋が示されています。