同じ著者による書「理性の限界」が素晴らしい内容だったので、こちらも期待していましたが、期待を裏切らない内容でした。前書から継承された特徴としては、(1)架空のシンポジウム形式で、学生や会社員など「素人」を主人公としつつ彼らに学者がわかりやすく解説するという方式で書かれているため、とにかく分かりやすいこと。(2)歴史の変遷が概観できるよう、どうしてそうなったのかという流れを追うように書かれていること。(3)著者自身の主観による「善し悪し」の価値判断が含まれておらず、かなり中立的視点で書かれていること。(4)著者は哲学畑の方で物理学などの専門ではないと思われるにも関わらず、その方面にも深い洞察をしていること、などが挙げられます。著者自身が「分かった上で」書いていること、そして「どうしたら分かってもらえるか」をいつも考えながら講壇に立っていること、がひしひしと伝わってくるような本です。なお、後書きに書かれていますが、前書「理性の限界」を読む前に、この「知性の限界」を読んだ方が、より分かりやすいかも知れない、とのことでした。私もそう思いました。さくさくと気軽に読めてしかも安い新書版。お勧めしたい本です。