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知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書)
 
 

知性の限界――不可測性・不確実性・不可知性 (講談社現代新書) [新書]

高橋 昌一郎
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 798 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容説明

予備知識なしで楽しめるディベート形式の論理哲学入門書!
前著『理性の限界』で論理哲学への斬新なアプローチを展開し話題になった著者が書き下ろす哲学ディベート第二弾。人間の知的営為の基本である「言語」「予測」「思考」の限界と可能性を論じる。思考や伝達の根本である「言語」。しかし、同じ言語が示す内容は誰にとっても同じではなく、言語理解には矛盾や限界がある。また、あらゆる予測の前提となる「帰納法」が論理的に正しいことは、実は証明できない。さらに、無限に思える「思考」にも限界があり、宇宙や神の存在を論理的に説明しきることはできない――。ウィトゲンシュタイン、ヘンペル、ナイト、ファイヤアーベント、カントらを次々と俎上に載せ、哲学者・科学者から女子学生、会社員や運動選手までもが参加して、哲学から経済、宇宙論まで、ときに脱線しながら熱く楽しく語り尽くす。

内容(「BOOK」データベースより)

哲学から経済学、宇宙論まで―知の限界と可能性をめぐる深くて楽しい論理ディベート。

登録情報

  • 新書: 288ページ
  • 出版社: 講談社 (2010/4/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062880482
  • ISBN-13: 978-4062880480
  • 発売日: 2010/4/16
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 3,016位 (本のベストセラーを見る)
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最も参考になったカスタマーレビュー
13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By nobptl
形式:新書
同じ著者による書「理性の限界」が素晴らしい内容だったので、こちらも期待していましたが、期待を裏切らない内容でした。前書から継承された特徴としては、(1)架空のシンポジウム形式で、学生や会社員など「素人」を主人公としつつ彼らに学者がわかりやすく解説するという方式で書かれているため、とにかく分かりやすいこと。(2)歴史の変遷が概観できるよう、どうしてそうなったのかという流れを追うように書かれていること。(3)著者自身の主観による「善し悪し」の価値判断が含まれておらず、かなり中立的視点で書かれていること。(4)著者は哲学畑の方で物理学などの専門ではないと思われるにも関わらず、その方面にも深い洞察をしていること、などが挙げられます。著者自身が「分かった上で」書いていること、そして「どうしたら分かってもらえるか」をいつも考えながら講壇に立っていること、がひしひしと伝わってくるような本です。なお、後書きに書かれていますが、前書「理性の限界」を読む前に、この「知性の限界」を読んだ方が、より分かりやすいかも知れない、とのことでした。私もそう思いました。さくさくと気軽に読めてしかも安い新書版。お勧めしたい本です。
このレビューは参考になりましたか?
19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By アジアの息吹 トップ1000レビュアー
形式:新書
國學院大学の論理学・科学哲学系の教授による一冊。
一方的な説明ではなく、ゼミ後の飲み会の席の様な
対話形式の議論展開が無理なく面白く科学哲学に迫っている。

駆け足ではあるけれども、
ヴィトゲンシュタイン・ポパー・ファイヤーアーベントと
一級品の思想がきちんと解説されている。

こちらから先に読んでしまったのだが
同じく対話形式で書かれた前著『理性の限界』を
是非とも手に取ってみたくなる。
このレビューは参考になりましたか?
25 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
本書は2年前の講談社新書「知性の限界」の続編である。僕はたまたま前作を読んで感銘を受けたので、書店で本書を見かけて楽しい気分で購入、とっとと読んでみた。以下に本書の主だった話題をみてみよう。

序章は前作で扱われた三つの定理を解説する。完全な民主主義が不可能であるというアローの不可能性定理、物質の位置と運動量を同時に完全に知ることはできないというハイゼンベルクの不確実性定理、完全で無矛盾な論理体系は存在しないというゲーデルの不完全性定理、である。

ついで、第1章では、1、ヴィトゲンシュタインの「論理哲学論考」とそれに続いて、論理実証主義運動が説明される。これはそもそも、どういった言葉(命題群)が意味があるといえるものなのか、という問題にたんを発しているのだが、カントなどの哲学が無意味だと感じられてしまうのは、その語法がまったく曖昧すぎるからだと指摘する。ついで、2、我々が日常的に使う言葉が相互に完全に理解されることは論理的にはありえないこと、が説明される。これは例えば、完全な翻訳というものがありえないこととも同じである。その後、ポスト・モダン哲学が内容のない言葉遊びでしかないことを、パロディを使って指摘したソーカル事件が解説される。

第2章では、1、科学的な命題は実証されるものだという実証主義が、実は不可能であることが指摘される。例えば、カラスは黒い、という命題は、カラスをどれだけ観察しても、次に観察されるカラスが白い可能性がある以上、実証されることはないのである。哲学者カール・ポパーは実証主義に代えて、反証こそが科学的な命題の要件だとした。カラスは黒い、という科学命題は、白いカラスを発見することで「反証」されるが、それまでは「漸次的な科学的真理」であるとされるのだと主張したのである。ついで2、完全な行動の予測というものが可能とすると、被予測者はその予測を意識的に裏切ることができるのではないか、という矛盾、またそれに付随したニューカムのパラドックスなどの論理矛盾が指摘される。

第3章では、1、各種の物理定数が、あたかも人間が存在するために決定されているように思われる、という人間原理が説明される。これはよく科学者のあいだで、神の存在・不存在についての議論に利用されているものだが、つまり、現在の宇宙は複雑な物質や構造物が進化するような環境を持っているが、それは20もの各種の定数がひじょうにうまく調整されていないと実現しないため、宇宙、あるいは神がそのように仕組んだのではないか、と考えるものだ。2、そして、科学哲学におけるポパーの「反証」は実はあまり機能しておらず、実際の科学理論の着想は、「何でもあり」なのだというファイアーアーベントの主張が解説される。

さてしかし、こういうふうに内容を概説してしまうことは、本書のもつ素晴らしさをいたずらに矮小化してしまわざるをえない。本書には、上に書いた以外にも、世界の複雑性が予測理論において果たす役割や、あるいは科学哲学において、社会学的な力学が働いているという、クーンの主張、その他ほんとうに数多くの哲学的な話題が散りばめられている。そのどれもが、本来は個別に取り扱われるべき興味深いものなのに、そういった多くの内容がまさにモザイクのように、本書の進行と登場人物の会話にあわせてぴったりと当てはめられているのである。

ここでようやく本書の感想になるが、僕にとって一番面白い登場人物は、やはりカント主義者だ。その大時代的な発言や哲学観などは、笑えると同時に、古き良き時代を感じさせてくれる。また私は、だいぶ素朴な科学万能主義者である。おそらく、真実の命題群と決定不能な命題群は、命題空間においてマンデルブロ集合のようにフラクタルに入り交じってはいるものの、しかし測度概念を導入すれば、決定可能な命題がほとんど、あるいはすべてなのだろう、と楽観的に考えている。この点において、本書の解説はもちろん僕が納得するものではないが、多様な(有意味な)哲学的な思索が、あっという間に読めるのは、痛快という他はない。

他のレビューワーも書いていることだが、確かに本書よりも前作のほうが、論点をじっくりと解説していて読み応えがあるのは事実だろう。とはいえ、本書は科学哲学も触れており、読んでみて損はない、という盛りだくさんである。結論的には、現代までの知の概観として、前作とともに強くおすすめしたい。
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