「あかりをください」同様、表題作はそれほどの量があるわけではないので、これも紺野キタ短編集として考えるのがいいかもしれません。
表題作『知る辺の道』は死者の霊を引きつけてしまう力を持った少女・真央と死神(?)の話です。この世より失われた者たちの魂は、その心に悲しみを秘めたばかりに現世にとどまり、真央の前に「落ちて」きます。真央は彼らを知り、受け止めていくことで彼らの心を救います。あまり見慣れない設定でしょうが、楽しく読めると思います。このような不思議で少し悲しい物語は、まさに正統派のファンタジーと言えるのではないでしょうか。
表題作のみならず、この本に収められている他の短編はいずれもありきたりな話ではなくて、その設定や展開、絵の美しさに飽きることはありません。ちょっとトーンが少なくて、他の本より白い印象は受けますけど。それと、気のせいかもしれませんが、この本に載っている作品を書いていたころの紺野さんは、きっと日本の民俗などに関心があったのではないでしょうか。『きつねの火』などからそういうことを感じました。
良質な作品ばかりなので、お薦めします。