Nメディカル誌連載の電事連の企業広告記事に、放射線医学の大家である東大名誉教授が
「ある作業者が健康診断の結果放射線作業現場に立ち入って仕事をすることができなくなった。(略)もっと困惑したのは、その労働者本人であった。突然仕事を取り上げられてしまったからである。(略)このような特殊技術の持ち主の配置転換は職場離脱、実質において解雇に等しい。(略)不当な不利益処分であり、あえて開き直った表現を用いれば、労働権の侵害である。当該の医師の責任は重い」
という文章を寄せており、云々、という記述が本書中にあります。
要は、仕事で被曝して症状が出ても、隠しとかないと本人のためにならん、隠すのが医者の道、という独特なルールの勧めです。「不当な不利益処分」とはまた恐れ入りますが。
その結果死んでも因果関係証明できないしい。これが誰かさんの十八番の「コンプライアンス」。
下って、2011/4/21のM新聞の記事「作業員の被ばく線量、管理手帳に記載せず」中に、福島の作業者の累積被曝量の扱いを巡り、同じ表現
「相当年数、就業の機会を奪うことになる。(ので今回の作業中の被曝は)全く別扱いで管理する」
が載りました。教授の論法が今も生きている(というか結局そうなる構造である)ことが明らかに。
本書はですので今日の状況を予言、とは違うな、当時からそのことを告発していたわけですが世間のほうが目を背けていて今回の事故でそれに気付くキッカケを与えられたと。「フクシマ50」に「頭が下がる」のも結構ですが、こういう構造に知らん顔しておいて困ったときだけ「英雄」もないもんだろうと、自戒も少しこめて。
そういった内容ですが、文章は抑制された冷静な筆致で宜しいと思います。
上の方も書かれたとおり図書館、古書店、是非お探しになって読まれるとよろしいです。