イギリスのジャーナリストのジョージ・ブルが、バチカンの現在を描いた一冊。原著は1982年。
バチカンの様々な機関、立場の人々に直接取材して、どういう人間が、どこでどのように働いているかを明らかにしている。バチカンの外交や財務を任されているのは誰なのか、よくわかる構成になっている。そのために時事的な要素が強くなり、出版から20年以上たった現在では、読者の興味を引きつけない部分が多くなってしまっている。また、著者が熱心なカトリック信徒であるためか、バチカン賛美の姿勢が垣間見える点が問題。
とはいえ網羅的にバチカンが語られており、貴重な部分も少なくない。特にバチカン内部の建築や美術行政に関する情報は有用であろう。
イタリアの地名・人名が原書のまま英語読みで翻訳されているなど、翻訳にはもっと気をつかって欲しかった部分が多い。