この本は、どっかで聞いたことのある歌舞伎の名文句を、作者別に6章に分け、その中でも筆者が選りすぐったセリフが納められています。セリフと共に、それが使われる歌舞伎の演目の解説や、歌舞伎における用語や作られた背景などなどが書かれていて、歌舞伎入門者にとっては取っ付きやすいです。そして副題に「心に響く」とありますが、実際に声に出して読んで見ると、日本語のリズムの美しさがわかります。特に河竹黙阿弥のセリフは、五七調になっていて、そのリズムが楽しいです。最後に『歌舞伎の台本とセリフ』と言う付録のような、歌舞伎全体における簡単な解説がついているのも、初心者には嬉しいです。歌舞伎のセリフがどのようにして作られたのか、そして「歌舞伎の台本は諺でなりたっている」と言!う井上ひさしさんの言葉がありますが、どこかで聞いたことのあるような言葉が、上手く組み込まれていたり、また歌舞伎のセリフから生まれた言葉などもあって、すごく楽しめました。『出会う所が百年め』や『馬鹿ほど怖いものはない』など、耳馴染みのある言葉を見ると、実際に歌舞伎を観てみたくなります。引用されているセリフの多くが、今でも演じられている演目なので、機会があれば観に行きたいと思いました。