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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
性、欲望、権力、知…ミクロ権力と性,
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レビュー対象商品: 知への意志 (性の歴史) (単行本)
ミシェル・フーコー、性の歴史三部作第一巻、「知への意志」。本文は200ページ強、読み込もうと思えば一日で出来そうなサイズで、内容も刃が立たないほど高度に抽象的ではないが、語られているアイディアは濃密で、読み手に考えさせること、気付かせることの多い著作だと思う。「監獄の誕生」と共に、現代社会を論ずる多くの著作家に引用される頻度の高い1冊でもある。冒頭に19世紀のヴィクトリア朝的モラルに触れ、抑圧される性という像を映し出した後、この著作全体でその像を反転させようと宣言し、後の章では、カトリックが聴聞僧への罪の告白を制度化したこと、そこで性にまつわる事柄が微に入り細を穿つほどの告白を求められたこと、やがて告白は文学の領域へ、そして精神分析の領域へと拡大していったこと、告白という仕組みは各個人に内面の観照を促すことで自己を点検・保守・管理させる自己統治の装置として機能したことや、性に関する知識が科学の姿を仮装したこと、一般に流布されている抑圧される性の4つの側面、女性のヒステリーへの対処・子供の性の管理・人口調整の対象としての夫婦間の性の管理・同性愛などの異常性欲を精神医学の対象とすること、をそれぞれ取り上げて、その一つ一つについて歴史的脈絡を明らかにする作業や、権力を考慮する際に、すでに構築された法・社会制度を自明の前提にするのではなく、日常の生活での対人関係上の力の流れ方、相互に欲望を介在した力関係の働き方から権力を捉え直し、法や社会制度はその結果であると考える見方などを各章に配置し、第五章の中ほどで性に関する言説秩序や言説実践は何のために、誰が用意し、作り出し、流通させ、消費させ、生産させ、効果を発揮していくのかが明らかにされる。そこに至るまでのフーコーの手管は、読み終わった後ではまるで探偵小説の書き手のように見える。 人を編み上げていく権力装置の重要な一部、と著者が呼ぶ「性的欲望」の見取り図として、読み手に与える印象が非常に強い1冊だと思う。
17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
新たな権力観の提示,
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レビュー対象商品: 知への意志 (性の歴史) (単行本)
フーコーの権力論をもっとも明瞭に示した名著です。それまでの所有される権力、という命題を放棄し、それに変わって権力を関係の網の目の中で繰り広げられる戦略的なゲームである、ととらえています。 実際のところ、この書の主眼は「権力によって抑圧される性」というそれまでの理解を乗り越えて、実は性を巡る言説は権力によって増殖され、新たに創られるものである、という点にあります。しかしながら私にとってもっとも興味をひき、また関心があったのは上で示した「権力関係」という発想です。このような観点から社会を眺めることで、いかに人間が人間と関わり合い、社会を形成し続けていくのか、新たな視点を提供してくれることでしょうし、現にこのような方向性のもと多くの研究がなされているわけです。
13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
言説の権力化,
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レビュー対象商品: 知への意志 (性の歴史) (単行本)
性ついての言説、真理は権力によって抑圧、統制されていて、それを解放することによって人間の性は解放される。そのようなステレオタイプの性科学の言説にミシェル・フーコーは与しない。 彼が提示した問いは「権力がいかに性を抑圧したか」ではなく「なぜかくも我々の性についての語り口は饒舌になるのか」である。 彼はそこには知への意思ともいうべき権力の働きを見出した。 性についての言説を収集、分析、構成していくこと。 不可視な性つまり「語られざる性」を次々と「語られる性」に言説化していくこと。そこにこそ権力構造が存在しているのだ。 このようにフーコーのとらえようとした「権力」とは、我々が家族内で遭遇する父親や、国民国家の元首というような実体を伴ったものではない。 彼の解き明かしたのは抽象概念としての権力、差出人不明の権力なのである。 『監獄の誕生』ではその差出人は我々自身、つまり我々は権力を内在化し自らを監視しているといっている。 彼のとらえる「権力」とは、そのような差出人が不明ではあるが、紛れもなくあて先は「我々」の権力のことなのである。 訳であるが、フーコーの書いたフランス語の原文自体が誌的な様相をていしており、日本語でははっきりいって読みづらい。 しかし英語版を見るともっと読みづらい。 フランス語も英語も満足に読めない我々はやはり日本語で読むことが一番近道のような気がする。
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