ラカンの解説書ですが、タイトルに「フロイト=ラカン」とあるように、
ラカン理論の解説だけではなく、それがフロイト理論とどのようにつながっているのか、
もっと正確に言えば、ラカンがフロイト理論をどう読み替えていったのかについて
分かるように解説がなされています。
ただ、解説がキーワード別に構成されているため(第二部)、
必ずしも体系的なラカン理論解説書とはなっていません。
また解説の内容も、全くの初心者が最初に読むものとしては少し分かりにくいかも知れません。
本書編者の1人である新宮一成氏の『ラカンの精神分析』や、
福原泰平氏の『ラカン−鏡像段階』、斎藤環氏の『生き延びるためのラカン』、
現在は絶版になっていますが石田浩之氏の『負のラカン』など、
他の解説書で事前に基本的な理解を得たうえで本書を読めば、
より一層その理解も進み、有益であろうと思われます。
また、第三部「三次元で読むフロイト=ラカン」には、精神分析だけでなく
その他の分野にもラカン理論を応用した考察が収められており、
思想としてのラカン理論に興味をお持ちの方にとっては
ラカン理論の他分野への応用例として興味深く読めるのではないでしょうか。
なお、第四部の1において
「もう他の解説書を読む必要はない。次は『エクリ』を読め」
というようなことが書かれてありますが、これはあまりにも無茶だと思います(笑)。
ラカンの著書を読むのであれば、編者の新宮氏も『ラカンの精神分析』の末尾で書かれておられるように
やはりエクリよりもセミネール、とりわけ第11巻『精神分析の四基本概念』から
入っていくのが一番分かりやすいのではないでしょうか?
(ただし私自身は、福原氏の『ラカン−鏡像段階』のレビューでも書いたとおり、
一般の方々がラカンに興味を持ち勉強してみようという場合において、
ラカン本人の著作にまで進む絶対的な必要性は無いのではないかと思っていますが)。