著者のブログを編集して書籍化したもの。
ブログなので時事問題への言及が見られ、現代日本社会が直面している必ずしも幸福ではない状況について語っている。個人の権利、機会の平等、プライバシーの保護、勝者と敗者を明確に階層化するこの社会の行く末がいかに味気ないものか、同時にその流れがいかに止め難いものか、冷静に分析する。
個人的には第一章の「貴族と大衆」が読みごたえがある。
現代社会の一見平等に見えるメリトクラシー(実力主義、能力主義)が不平等の是正どころか、逆に階層化を一層押し進めるような危機的状況をいかに生み出しているのかを論じる。そしてオルテガが予言したような本格的な大衆社会の到来のなかで、それでも目指すべき共同体のよりよい市民(オルテガのいう「貴族」)のあり方について提案している。
他の文章も、軽い語り口ながら、常に根源的な、はっとする問いを投げかける著者らしさは十分に現れています。