登録情報
|
物語は修道院をとび出した愛の人ゴルトムントの放埓な人生を中心に幻想的なタッチで描き出され、彼の旅は修道院に残り謹厳な日々を生きた知の人ナルチスとの邂逅によって終りを告げる.
彼らの対照的な生涯はただ二人の人間のコントラストというだけでなく、知性と感性との鬩ぎ合いといった様相を呈し、ぶつかり合う二つの真理として光芒を煌めかせる.
果たしてヘッセは知の人であり、全篇を彩るゴルトムントの華やかな道程は実のところ作品の本旨ではない.そこに、この小説の妙味があるといえる.
およそ長きにわたって閑却されていたナルチスという人の思いは、語りの位置にあって読者とともにゴルトムントを見つめ続ける.ナルチスの迷いも、苦悩も、絶えずゴルトムントの人生に寄り添っているのである.
しかし、この小説はひとつの芸術としては曇りなく完成されていながらも、知性と感性の攻防という最大の問題を読者の心中に残したまま幕を下ろしてしまう.
ナルチスのなかで火を点した愛への求めは、後にヘッセ最後の長篇『ガラス玉演戯』へと導かれていく.
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|