タイトルにひかれて手にしましたが本書には、「知っているようで知らない」という類いの情報があるわけでもなければ、「おもしろく」もないし、「雑学」と呼べるほどのことはほんのわずかしか書かれていない、というのが読了後の率直な感想です。
まず、この本に書かれていることは大半が“データ”でしかありません。
ハリウッド映画の著名な作曲家にはどういう人がいて、いつ生まれていつごろ活躍し、どんな作品を残し、いつどういう死因で死んだか、というデータが列挙されるばかりです。データを延々読まされても楽しくありません。
また著者の文章には意味不明の箇所があり、読みこなすのに苦労することが幾度もありました。
例えば、映画「カサブランカ」のスコアについて記した「スタイナーも知らなかったテーマ曲」(36頁)という項は、著者の言わんとすることが何度読み返しても判然としません。
バーグマンのスケジュールの都合がつかなくて映画の撮り直しが出来なかったことと、作曲家のスタイナーがオリジナル曲を書けなかったこととの間の関係が見えません。
さらに言えば、著者の文章はかなり端折りがあるように感じます。
一例を挙げると、007シリーズの音楽で知られるジョン・バリーが、シリーズ12作目の「ユア・アイズ・オンリー」の主題歌をビル・コンティに託したのは「税金のからみ」でイギリスに滞在するのを避けたから、だとか。(118頁)
「税金のからみ」とはまた随分大雑把な表現です。
おまけに記述に誤りも見られます。
「フューチャーものと呼ばれる長編映画」(24頁)とありますが、future(未来)ではなくfeature(長編)です。
「フリッツ・ラングの『カリガリ博士』」(193頁)とありますが、映画「カリガリ博士」の監督はラングではなくローベルト・ヴィーネ。
「ゲッペルス宣伝相」(193頁)は「ゲッベルス宣伝相」の誤り。