かの悲惨な大震災・津波と福島原発事故の後、ネット上では原発事故・原発についてさまざまな意見が飛び交っている。なかにはデタラメな情報を、さも自分が専門家でもあるかのように書きまくっている者もいる。こういうネット情報が氾濫する時代に、目を通しておきたい本が出た。
本書の内容は、事故後に世間が知りたいと感じていた原子力・放射能の知識を、全般的に網羅している。まさに原子力・放射能ミニ辞典といったところだ。このサイエンスアイ新書全般の特徴だが、いわゆる「著作」の形式をとらず、項目ごとに記載する辞典形式をとっており、目次を見て興味をひいた項目から読んでいける。
非常に読みやすい。
しいて欠点らしきものを挙げるならば、福島第一原発事故についてページ数をさいて解説しているが、マスコミ情報以上のものではない。著者も福島原発の直接の関係者では無く、マスコミ以上の情報は知りえないのだろう。
震災・事故から2カ月ほど経っている現在、各書店には地震、原子力のコーナーが出来ている。しかし並んでいる本のほとんどは、震災・事故前に出版されたもので、タイムリーなものとは言いかねる。だが、ようやく新しい本が出版されるようになってきた。本書はその先陣を切って書店に並んだ、と言ってもいい本。今後こういう本が次々と出てくるだろう。
福島原発事故のまさに「基礎知識」として、手元に置いておきたい本と評価したい。