1972年〜1974年、文化大革命下の中国。
知識階級の子供として生きる少女・睡蓮(12歳〜14歳)を通して、
差別と欺瞞に満ちた重々しい時代と
その時代下であっても押しつぶされない、
明るくイキイキとした感性や少女たちの親密な交友関係を追体験しました。
さらに時代や時の指導者に対する冷静で皮肉な視線にいたく感心しました。
前半は、全身にできた皮膚病を理由に、母親と共に「再教育施設」で暮らすことを許され、
極端な飢えと劣悪な環境の中で、
睡蓮は収容された(時代を見抜いている)知識人たちから
学校では決して教えてくれない事実や自ら考えることの大切さを授けられるというお話です。
彼女は、友人もおらず一人の時間を睡蓮の浮かぶ池のほとりで、
カエルやコオロギ相手に架空の講義を語ります。
再教育施設の中で自由に学ぶ、という相反する(恵まれた)立場におかれたわけです。
後半は、北京の学校に戻った睡蓮と貧しく蔑まれる張金との密着した関係を描いています。
睡蓮は張金を助けて、勉強・スポーツなど優位な地位に押し上げようとするのですが、
何を達成しても張金は蔑まれ、イジメはエスカレートしていきます。
張金の先の見えない苛立ちとやがて崩壊していく過程、
睡蓮の友を思う心情、後には正義感が
物語を力強く引っ張っていきます。
さらに、女性としての目覚めや悩み、男性に対する恐怖心も描き添えて、
その年頃の少女達のリアリティを出しています。
時代や国を越えて共鳴できました。
(それにしても、中国人の感性って日本人に似ている。)
600ページ弱の大作ですが、夢中になって読みました。
ラストの唐突な展開にとまどいましたが、
また一人才能に恵まれた中国出身の作家に出会えました。