真赤に着色された小口を開くと、2つの図像がある。左ページには月の絵、右ページには女性の左目の絵で、それぞれ中世から近世にかけて描かれた絵画から抜き取ったものとなっている。白いページの中に図像の占める面積はわずか2センチ角ほどで、さらに印刷も決して明瞭とはいえないモノクロである。しかしその模糊とした世界から差し込む月の光、女性の眼差しに延々とさらされていると、何かぞっとする冷たさを感じもし、また大昔に忘れ去られた標本集を眺めているような心地にもなってくる。カバー裏には一転して饒舌な、こちらも眼と月に関するダイアグラムあり。