読み始めたら夢中で読めるという意味ではほんとうに楽しめましたが、とにかくずっと首をひねり続けながら読みました。主役のルーシーとジョージの恋愛にはまったく説得力がなく、空虚なジョージのどこがいいのか私にはさっぱり。一見鎧のように観念をまとっているように見えて根っこは率直で清清しく、ちょっと可愛らしいようなロマンチストぶりも諧謔も茶目っ気もかいま見せる、複雑なセシルのほうがはるかに魅力的じゃないですか!
セシルのほかにも、ルーシーの幸せを純粋に願っていそうに見えて実はそうでもないヒネた牧師とか、いちいち見事に他人の神経を逆撫でするシャーロットとか、お邪魔虫として登場する人たちはみな本当におもしろいのです。
それに比べて、セシルの真摯な問いに対してジョージの受け売りで答えるルーシー、セシルを貶めるようなことを言ってルーシーに迫るジョージ、とってつけたようにルーシーを“覚醒”させる老エマーソンなどの動き方は不自然きわまりなく、作者がこれらの人たちをどうしたいのかまったく腑に落ちない。
『インドへの道』を読んだときはフォースターはすばらしい作家だと思ったのですが、この作品はわざとらしい口上であふれかえっている感じがしました。にもかかわらず夢中で読まされてしまうところがフォースターの力量なのかな。さんざん悪口書きましたが、おもしろいです。