幼なじみの二人の少年期から青年期までの移り変わりと、すれ違う想いを描いたあまりにも切ない話。
澄は顔立ちが綺麗な圦也の幼なじみ。幼少時代の澄はかなり意地が悪く平気で嘘をつくような人間。
十七の夏、興味本位で圦也と寝た澄は、その後の自分の性癖と人生を決定付けられる。
成長するにつれて孤独になって行く澄を、激しく憎みながらもひたむきに愛して行くのが圦也だ。
彼だけは最後まで澄を見棄てなかった。澄にどんなに裏切られても、どんなに傷つけられても。
幾度となく別れと再会を繰り返す二人。
過酷な経緯を辿る二人の運命が、ラストにむけてより一層甘美な時へと変貌を遂げる。
年齢を重ねた澄は昔のように綺麗な少年ではないけれど、昔と変わらないひたむきな圦也の愛は、
眩暈がするほど美しく光り輝いていて、涙なくしては読めない秀作。
新装版発売につき、以下追記。
書き下ろし、楽しく読みました。圦谷はどんだけ澄のことが好きなんだよ笑。
恐らく作品に嵌れるか否かは、この意地悪で傲慢で頭の悪い澄のことが受け入れられるかどうかで決まると思います。
内容はどこか『檻の外』や『さようなら、と君は手を振った』に通ずる重さや暗さがあり、
女という性を軽視、侮蔑する描写がふんだんに含まれています。
それだけでかなり人を選ぶ作品ではあります。
私はこの頭の悪い何の才能も取り得もない、恐らく何かしらの人格障害か、
先天的に人としての何かが欠けてしまっている澄に自己を投影していて、
圦谷に救われる彼を見るたび、自分も救われた気持ちになるからこの作品が好きなんだと思います。
書き下ろしでも澄は本当にどうしようもないバカでした笑。
二人は相変わらずラブラブで、圦谷は相変わらずバカな女王様気質に苦労していて、
その滑稽なやりとりに微笑ましさを感じ、とても幸せな気持ちになりました。
そんな自分も相当病んでるかもしれませんが、個人的には大満足です。
唯一、残念なのは描き下ろしのピンナップ。旧作と同じシチュのイラストでした。
出来れば違う場面の二人が見たかったです。
表紙の描き下ろしは美しく、何年経っても色褪せない挿絵の確かな画力、表現力には今一度脱帽しました。