潮のみちひきのように繰り返しの多い作品だが、文章が上手いので最後まで読めた。
この老人たちは何のため、こんなところへ通うのか。
大部分が既に勃起も射精も不能の老人たちである。主人公はまだ辛うじて可能らしいが、性欲は極度に低減していてほとんどゼロに近い。そんな老人たちばかりなのだ。さもなければこの老人たちは女の子相手に夜通し好き勝手な変体三昧に及ぶはずだが、それはタブーなのだ。そして老人たちは極度に禁欲的なわけでもない。つまり全員、性欲の干からびたおじいさんたちなのだ。だからこれはネクロフィリズムのようなエロティシズムを主題にした文学ではないのではなかろうか。
最後に主人公の見る夢は何とも寂しい夢だ。新婚旅行の帰りー花畑ー彼方のお母さん、という組み合わせが寂しいのだ。人生そのものの寂しさと儚さに胸を打たれる作品だ。
川端康成のノーベル賞記念公演の主題を見事に描ききった作品だと思われる。