デビル・ライダーズ第四弾。(1〜3:フローラブックス、4〜:ラズベリーブックス。出版社変更での続刊です)
伯爵家次男坊にして優秀な外交官であるナッシュは、幼い頃のトラウマから、結婚に愛は必要ないと、花嫁探しをおばに任せます。かわって、幼い5人の弟妹たちと貧しくとも逞しく生きるマディは、フランス式に燃えるような恋に憧れていました。ナッシュが落馬し、マディが看病することで、二人の間に芽生えたある感情は、花開くことができるのでしょうか?
素晴らしいです!
頭を負傷して記憶を失ったナッシュは、マディに惹かれます。
はじめは、ナイチンゲール症候群めいた、つぼみのような淡い気持ち。
これが、章が進むにつれ、マディの笑顔、マディのぬくもり、マディが弟妹たちへの手放しの信頼と愛情、そして、自分へ向けられる率直で正直で純な微笑みに、ナッシュの感情は、しだいに花弁を広げて輝き出していくのです。
ナッシュ自身もそうとは気づかないこの熱い感情は、直截的に言葉に乗ることはありません。
だから、じいんっとくる!
マディを見つめる眼差しやマディを脅かす者への怒り、ちょっとした所作で、マディへの感情がぐんぐん高まっていくのが読み取れます。
秀逸。
思いあまって、外交官らしからぬ失言もまた、ご愛敬でしょう。
外交官の言葉って、当然、最強の洗練された道具ですよね。
これが、やってまう。
行動力と口先と微笑で国を操れる男が、動揺して衝動的な、失言。
貴重です(笑)。
微妙な感情の誕生から、花開くまでを、しっかり盛り上げながら読ませてくれる、とても素晴らしいロマンスと申せましょう。
二人を取り巻く登場人物も、個性的かつ物語を美しく彩っています。
素直に育ってる弟妹たちはもちろん、かわゆい。
ナッシュによる、外交官モード全開の完璧差配に動かされている、ナッシュの兄弟たち。
物語への必然性もあって、とても自然に、スバラシイ配置です。
私のお気に入りは、偏屈ババアなナッシュのおばと、怜悧な兄のマーカス。その二人がこそこそ(?)自分を辛辣にあげつらっているところに乗り込んで啖呵をきる、マディ。そこらへんのやりとり、かなりイイです。小さな家族を一人で支えてきたマディです。気骨が違います。うー、格好いい御嬢さんです。マディが「よけいなお世話です」と捨て台詞を言い放って出て行った後の、二人のやりとりがまた、イイ。思わず、にやり。陰湿的ではない美しい人々って、読んでて爽やかですよね。
さて、このシリーズ、第五弾があります。原題は『Bride by Mistake 』絶世の美男子(笑)ルーク、登場。このままラズベリーブックスから続刊してもらえたら、嬉しいんですけど。