従順さを追求すると、ひとつの矛盾が生じる。積極的に受身的になるというのは、どういうことか。
受身的にしていても懲罰をうけるのであれば、なにゆえ恭順を示さなくてはならないのか。
懲罰が称賛であり、褒美であるのならば、よい奴隷はますます懲罰を受けるように振舞うべきであるのか。
そういった混乱が、いわば反抗期のように、眠り姫を襲う。なぜ、私達は従うのか。
眠り姫と対になるように、トリスタンも同じ問いに向かいあい、完全な隷属が完全な解放に通じる経路になると考える。
真の服従とは何か。真の自由とは何か。100%、魂を譲り渡すとは、どういうことなのか。
丁寧で濃密な描写の裏に、著者の思索をも感じる。と同時に、著者は、男性を引きずりおろす過程を楽しんでいるに違いない。と思った。