元NASA研究者、元神奈川大学長で、太陽物理学を40年以上にわたって専攻している碩学の理系エッセイ。というか、世を席巻している「人為的地球温暖化」論に対する批判・反論を淡々とした筆致でまとめた1冊になっている。また、太陽活動の減衰がもう13年に及ぶとし、このままでは地球は寒冷化に向かう恐れがあるとする、「反常識的」な推測の書でもあって、その意味では、数年前から「地球寒冷化」説を唱えている東工大の丸山博士(関連著書多数)に近い。
一方、同時に、今年の異様な暑さについての解釈なども併記(「偏西風の蛇行」について触れていないのは残念だが)。基本にあるのは、著者ご自身も日本語訳版(「不機嫌な太陽」)で監修を務めたスベンスマルクの「宇宙線雲形成仮説」に繋がっていく自然現象としての気候変動論で、大気中の濃度いまだ0・04%にとどまるCO2などモノの数ではない、という立場からの「太陽活動」主因説の再確認ともなっている。その点では、京大理学部天文台長の柴田博士が強調されている「CO2温暖化説は宇宙物理学学界ではまだ全然定説にもなっておらず、IPCCが唱えるような、仮説を巡る合意形成などどこにもない」論(NHKブックス『太陽の科学』)と同一指向にある、と言えそうだ。