愛のないセックスに伴う悲しみについて考えたくなり、この本を手にした。しかし、そんなウブな惑いは話題にも上らない。遠い過去に置いてきたか、もしくは最初からセックスに愛なんて求めるべくもなかった女性たちである。
それでも彼女たちは、いかに生きるべきかもがいている。元風俗嬢という希有な聞き手を得て、赤裸々に語られる胸のうち。「そりゃアンタがばかだよ」と言いたくなるような話もあるが、あっけらかんとした中にもやるせない思いが覗いて、ところどころ涙を誘われた。
それにしても、プライベートでの男関係の暗澹たることといったら。それがこの仕事の代償の一つでもあるならば、あまりにもリスキーすぎる。ただし結局は自分で選んだ道である。
印象的なのは彼女たちの優しさだ。昼と夜の二つの顔を持っていることが優越感をもたらし、寛容さにつながるのだろうか。男の欲望をひたすら受けとめることが、母性にも似た感情を引き起こすのだろうか。男の闇も女の闇も見てきたせいで、人間への期待そのものが醒めているのだろうか。優しさと愚かさが表裏一体なのだろうか。何かを諦めると、そのぶん人は慈悲深くなるのだろうか。