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真鶴 (文春文庫)
 
 

真鶴 (文春文庫) [文庫]

川上 弘美
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (32件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

12年前に夫の礼は失踪した、「真鶴」という言葉を日記に残して。京は、母親、一人娘の百と三人で暮らしを営む。不在の夫に思いをはせつつ新しい恋人と逢瀬を重ねている京は何かに惹かれるように、東京と真鶴の間を往還するのだった。京についてくる目に見えない女は何を伝えようとしているのか。遙かな視線の物語。

内容(「MARC」データベースより)

失踪した夫を思いつつ、恋人の青茲と付き合う京は、夫、礼の日記に、「真鶴」という文字を見つける。“ついてくるもの”にひかれて「真鶴」へ向かう京。夫は「真鶴」にいるのか? 『文学界』連載を単行本化。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 271ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2009/10/9)
  • ISBN-10: 4167631067
  • ISBN-13: 978-4167631062
  • 発売日: 2009/10/9
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (32件のカスタマーレビュー)
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43 人中、40人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 間違いなく、代表作になると思う。

 夫が失踪して十数年の歳月がたち、主人公は、母と、父の顔を覚えていない年ごろの娘と三人で暮らしている。一応、恋人もいる(妻子持ちだけれど)。

 というようなストーリーの小説が今までどれだけあったかわからないが、これだけ「喪失」というきわめて文学的な(それだけに紋切型になりがちな)テーマにきちっと向きあった小説も少ないと思う。

 男と一体化して子を産み、そして子と一体化することで男から離れ、いつしか子も成長して自分から離れて行く。そしてかつて自分と一体化していた母は、確実に老い、死に向かってゆく。また自分も、死の世界の男から、呼ばれるようにして、死に近づいてゆく……という、神話的ともいえる話型が、身体感覚にリアルに迫ってくる。

 そして、真鶴、という絶妙な設定。東海道線下り電車のあの独特な光景は、まさに生から死に向かう気分を象徴している。

 以前から「川上弘美はたべもののことを書いてるところはいい感じにリアルだけど、男女のことになると逃げてる感じだよなあ」って思ってたけど、今回は、逃げてない。なまなましいよ。文体も今までとは変わっているし。あまくせつないだけじゃなくて、言いようのないふかいかなしみが、しんしんと伝わってきた。リアルで味わいのある細部の積み重ねから。

 好きなところも、いいなあ、と思うところもたくさんあったけれど、うまく伝えられない。部分じゃなくて、全体の流れとして味わいたいところばかりで。川上弘美の小説の中で、一番好きだな。
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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 夢追い虫 トップ1000レビュアー
形式:単行本
「夜の公園」を読んだ時に、

川上さんの世界と「不倫」があまりにもつながらなくて、

こういうテーマは描いてほしくないなと思ったけど、

今回は不思議としっくりと収まっている気がする。

「夜の公園」は実験的な試みで、

そこを経てこの「真鶴」が書かれたのかも・・・と勝手に解釈することにします。

京の心に今でも残る冷ややかなもの。

“ついてくる”女の存在の意味。

思春期の娘は幼くあどけない姿をみせることもあれば、

手の平を返したように冷たくもなる。

そして時折漢字表記するべき箇所がひらがなになっていたりする。

これは京の夢なのか、真実なのか、

とにかくバランス感覚の危くい小説で、判断が揺さぶられます。

沢山使われている「にじんでいる」という表現も、

辞書に載っているような正しい意味でなく、

川上さん流の表現で、その時その時によって違う使い方をされている。

この「にじんでいる」をどう解釈しようか悩み、

ワタシ的には【主人公の心にぽかんとあいた空洞】みたいなことかと解釈してみたけど、

どうしても合わない箇所も多く、

ちょっと読み込みが足りなかったかもしれません。

最後に京たち家族、つまり女3人が

寒天を煮とかして、杏仁豆腐を作る場面はよーく考えるとすごく怖い。

プルンプルンで安定感のない食べ物・・・。

光が差したようなラストではあったけど、

杏仁豆腐の不安定さが彼女達の心の均衡の不安定さをうまく表現している。

川上弘美さんはこういうのががうまいんですよね〜。
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
極上の頽廃 2006/11/11
形式:単行本
ほかの男と関係を持ちながら、失踪した夫を忘れられない主人公。
突然いなくなった夫は、彼女にとって永遠に損なわれ続ける存在で、
執着は強くなるばかり。
自分の意思に反して何かを失うというのは、そういうことなのかもしれない。

夫が日記に残した「真鶴」という言葉と、強い何かに引かれて、何度も足を運び、
夢かうつつか判別のつかない世界を彷徨う主人公の姿は、なんとも危うげで美しい。

そして真鶴の場面とは対照的に描かれる、
主人公と母と娘との女三人の現実的な共同生活。
娘が子どもから女へと変わりつつある様子や、
女の匂いが日に日に濃くなっていく家庭内に、
主人公が戸惑いを感じているのがとてもリアルだ。

川上弘美の世界観が存分に楽しめるうえ、
女の情念や恐ろしさのような、これまでとはちょっと違った雰囲気も楽しめる秀作。
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