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真贋の洞察―保守・思想・情報・経済・政治
 
 

真贋の洞察―保守・思想・情報・経済・政治 [単行本]

西尾 幹二
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

世を惑わす言説と正す言説を見極めよ。警醒の時論集。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

西尾 幹二
昭和10年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業。同大学大学院文学修士。文学博士。電気通信大学名誉教授。評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 366ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2008/10)
  • ISBN-10: 4163703705
  • ISBN-13: 978-4163703701
  • 発売日: 2008/10
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 相変わらず鋭い眼、冴え渡る切れ味, 2009/2/10
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レビュー対象商品: 真贋の洞察―保守・思想・情報・経済・政治 (単行本)
最近の評論を集めた論集。中でも白眉は、小熊英二「民主と愛国」を批評した一文。
戦後進歩主義者を大量に紹介したあの大著を、昔麻薬のように全身を痺らせて読んだ人には、思い出をまさぐるようにして読む本、好きな人にはうっとり聞き惚れるような曲だと表現する。
もう誰も相手にしてくれなくなった彼らには、心を慰めてくれる”癒し”だと痛烈な皮肉。
しかし、大半の人にとっては、もう終わった話であり、誤りと分かった歴史認識を、何をいまさらという本と指摘。
小熊氏が絶賛する丸山眞男・大塚久雄の思想の根底にある矛盾・知的怠惰を、分かりやすく指摘して説得力がある。
原題「癒しの戦後民主主義」は、小熊氏の「癒しのナショナリズム」も茶化していて秀逸。
「癒しのナショナリズム」は、著者が初代会長だった「新しい歴史教科書をつくる会」を手厳しく批判する本なのでその意趣返しかも。
ほかに、上野千鶴子の露悪趣味というか露出趣味の根底にある精神病理を指摘した「廃墟の思想家」も的確な評論だった。
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3 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 自分の職業の収入だけでは食えない人たちが垂れ流す言論, 2011/10/12
レビュー対象商品: 真贋の洞察―保守・思想・情報・経済・政治 (単行本)
大学教員の収入は低い。まして国立大学の教員ともなると、講演その他で副収入を得ようとしても、微々たる「お礼」を懐に入れるのに膨大な書類を書かされる。これは何も「新自由主義の嵐(こんな嵐あるんかいな(笑)今に始まったことではない。昭和30年代に日本国有鉄道に入社した葛西敬之氏は、国鉄内にのさばる国労動労と、それに腫れものに触るがごとき微温的な振る舞いしかしないダラ幹連中に絶望し、母校の東大法学部に舞い戻り恩師の岡義武先生に「東大に戻って学者の道を歩みたい」と希望を述べたそうな。その時の岡先生の回答がふるっている。「キミ、一生遊んで暮らせるような恒産はあるのか?」。

著者の西尾氏は、「あの」西尾氏である。「新しい教科書を作る会」に紛れ込んではかき回し、会を事実上の分裂に追い込んだ御仁の、あの西尾氏である。この人、もともとは電気通信大学で主としてニーチェを中心にドイツ文学を教えていた人である。それが、まあ、いまどきニーチェなんてやっていても食えないからだろうが、日本の歴史問題、教科書問題、日米関係、日中関係、日朝関係をどんどんその守備範囲を拡大し、最近では皇室にまで「御忠言」を献上するまでに「御出世」されている。常識のある読者なら、普通、このニーチェも真っ青の「超人」的な活躍をされる西尾氏から距離を置くものだろう。「こいつ、ちょっと手を広げすぎじゃないか。だって論旨が隙だらけじゃん」と思うものである。ところが世の中とは広いもので、こんな「超人西尾幹二」をありがたがる人たちがいるのである。もっと悪質な奴がいる。それは、西尾の胡散臭さを十分知悉していながら、その論旨の部分を都合よく切り取って、ちょうど将棋の手ごまよろしく振り回しては、さがらぬ溜飲を下げるため西尾氏を利用しようと目論むや輩だ。日米同盟を重視する日本の外交政策がいやでいやでたまらぬが故に、あえて西尾を持ち出すその品性のなさに、時々私は言葉を失う時がある。

で、本書である。本書の最近よくある「掌編」の寄せ集めだ。といっても、そこは西尾氏。書いているメディアがきわめて限定されているところが悲しい。前半は「諸君!」が多い。しかし、後半にいくにつれ、あの「WILL」に投稿した記事が頻繁に出てくる。私は「文芸春秋」「中央公論」までは目を通す。「諸君!」も保守系メディアとして時々良い論文が出るので手に取ることがある。「VOICE」となるともうほとんど扇情的な記事ばかりで読むこと少なくなり、「正論」にいたっては目次さえ見るのが億劫になる。それでも「WILL」よりはましである。「WILL」ならまず読まない。「WILL」に載っていれば読まなくてすむものを、こうして単行本」になると読まされてしまう。まるで「毒入りなんとか」じゃないが、もう少し原産地表示を大きくできないものか。

小熊英二の著作を中心に丸山真男、鶴見俊輔、竹内好、大塚久雄あたりを批判しているあたりは、まだ良い。罪がない。このあたりの批判は私が以前Bk1に投稿した丸山真男批判と瓜二つである。

問題は日米同盟や日朝関係、日中関係、米中関係を論じた後半である。

まず、ここではっきりさせておかねばならないことがある。それは戦後ずっと、そして今後とも、日米軍事同盟は日本の外交防衛の基軸であり、日本の国家戦略の基幹であるということだ。これは吉田茂が敷いた路線で、要するに世界第二のGDPを誇るわが日本が、軍事力を制限を制限し、核を持たないない代わりに、世界最高の軍事力を誇るアメリカが日本国内の多方面に軍事基地を置きつつ日本を守り日本に核の傘を提供するというものである。これは外務省や防衛省や自衛隊の幹部と会話すれば痛いほど確認できる。日本の自衛隊は、特に海上自衛隊と航空自衛隊は、事実上完全にアメリカ軍の一部隊として組み込まれ、また位置づけられている。このことは所与の前提として受け入れる必要がある。東アジアの軍事安全保障情勢は日米一体(というか日本の軍事的対米従属)は中国も韓国も北朝鮮もロシアも認めた国際システムなのである。これを覆し「対米従属からの脱却」が西尾の願望のようだが、こんなことをすると日本を取り巻く国際環境が激変し、世界の秩序は大きく動揺するし、日本にとっても経済的にも外交的にも損ばかりで売るところがない。満たされるのはちっぽけなプライドだけであろう。

米中同盟の話も笑わせる。日本では対米従属が悔しくて我慢ならなくて、なんとかアメリカを否定し、アメリカをくさし、日米安保を解消に持ち込もうと運動する人が昔からいたが、西尾もその類である。しかし、米中同盟で日本が置いてけぼりとは笑止である。アメリカはそんな国ではない。

アメリカがロシアに強く当たり、中国に融和的なのは、中国がアメリカに肝心なところで全部譲歩しているからである。中国は今後ともアメリカの市場と資本なしには生きていけないし成長もできない。能なしの貧乏人が毎年7%前後のスピードで人口が増えている今の中国では、国民の生活水準を維持するには8%前後の経済成長を続けないと持たないのである。すでに中国共産党の腐敗は相当程度進行しており、経済成長の分け前を国民に配れなくなった途端、共産党の正当性は崩壊する。そういう危ない状態にあるのが今の中国である。そのために中国はあえてアメリカの資本を大量に受け入れ、最も付加価値の低い製造工程に低廉な労働力を大量供給することで、経済をつなぎとめている。アメリカもアメリカで、中国の脆弱性は百も承知。彼らと無駄に事は構えたくないし、利用できるところは徹底的に利用し尽くす。これを言葉を変えていえば「WIN-WIN」の関係というのだが、そういう便宜的な結婚状態にあるのが米中関係とみてよいだろう。中国は世界の工場ではない。世界の下請け工場というのが、より正確な表現である。

では、北朝鮮問題はどうか。日本には北朝鮮をやたら大きく見せようという不思議な連中がいるが、北朝鮮の国家予算規模は東京都台東区とあまり変わらない。だからこそアメリカがマカオの金正日の秘密口座を押さえたとき、あの国は動揺したのである。口座の残高はたった30億円程度だったという。30億円なら、そこらへんの地上げ屋でさえ持っているカネだ。そういう惨めで貧乏な貧窮の小国が、背伸びに背伸びを重ねて核武装だ、うんだかんだと騒いでいるのだ。私がアメリカの大統領なら「ほっとけ」というところだろう。アメリカにとって北朝鮮問題はどうでもよい問題なのだ。だからポイントは、日本は、アメリカや中国がどう北朝鮮を扱おうが、この問題ついてだけは動けないし譲れないという毅然たる態度を維持し続けることなのである。アメリカと日本の利害はおおむね一致しているが完全には一致していない。アメリカにはアメリカの利害があるように、日本には日本の利害がある。だから、アメリカが北朝鮮に対しテロ国家指定を解除しようとも「そういうことは想定の範囲内」と麻生総理のように悠然と構え、「拉致問題が解決しない限り、日本は動けない」と毅然とするのが正しい外交というものなのである。これ幸いと西尾のように日米安保解消、単独核武装を主張するのは馬鹿のすることである。
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