アメリカ側は単に襲撃を察知していただけでなく、むしろ意図的に日本をそこへ導いたというのが、本書の主張である。にわかには信じがたいような話だが、「情報の自由法」(FOIA)により近年ようやく日の目を見た未公開資料の山が、圧倒的な説得力で迫ってくる。なかでも中心となるのは、真珠湾の前年、海軍情報部極東課長マッカラムが起草した、日本への戦争挑発行動覚え書だろう。以後の対日政策は、まさにこの覚え書どおり進行している。また、開戦直前の日本艦隊には「無線封止」が行われたというのが定説だが、実際はきわめて無造作に通信が交わされており、その大半が傍受解読されて作戦は筒抜けだった。これまた驚くべき話だが、130通にも及ぶ傍受記録をつき突き付けられては納得するしかない。
著者は執拗なまでの粘り強さで資料を博捜し、これまでの常識や偽られた史実を次々と覆してゆく。情報重視の姿勢は、収集した資料を公開するほどの徹底ぶりで、有無を言わさぬ信憑性がある。むろん、いまだ閲覧を許されない極秘文書は数知れず、各方面からの反論も多々想定されるが、本書によって真珠湾研究が次の段階へ入ったことは間違いない。今後、この著作を経ずして真珠湾を語ることはできないだろう。それだけの重みをもつ本である。(大滝浩太郎)
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日本が自身の限界を知りつつも対米英戦争に踏み切らねばならなかった理由はいくつもあるが、マッカーサー自身も後年公に認めたようにABCD包囲網のせいで日本の経済が亡国規模の危機に晒された事が最大の原因といえる。そのABCD包囲網を完成するための計画書の存在が反論不可能なまでに明示されたということは、即ち日本に対する挑発行為が証明された、ということであり、換言するならパール・ハーバーは「Unprovoked Attack」ではなく、対英米戦争は「侵略戦争」ではない、という事実が証明されたということに他ならない。東京裁判の「日本『侵略国家』説」はここに完全に覆された。
著者の感傷的・愛国的結論は脇に置くとして、本書の真の意義は、戦略の成功としての連合国の第二次大戦「勝利」と、戦略の失敗としての日本の「敗戦」の意味を再考し、反省し、将来への教訓とする上での貴重な第一級資料を提供してくれたことにある。切迫した地球規模での資源の枯渇を考えるとき、「日本は馬鹿だった。悪かった。」式の思考停止に陥って米国へのおもねりから京都議定書拒否を批判することもできない情けない現状に甘んじているような暇は、もう無いのだ。
日本が自身の限界を知りつつも対米英戦争に踏み切らねばならなかった理由はいくつもあるが、マッカーサー自身も後年公に認めたようにABCD包囲網のせいで日本の経済が亡国規模の危機に晒された事が最大の原因といえる。そのABCD包囲網を完成するための計画書の存在が反論不可能なまでに明示されたということは、即ち日本に対する挑発行為が証明された、ということであり、換言するならパール・ハーバーは「Unprovoked Attack」ではなく、対英米戦争は「侵略戦争」ではない、という事実が証明されたということに他ならない。東京裁判の「日本『侵略国家』説」はここに完全に覆された。
著者の感傷的・愛国的結論は脇に置くとして、本書の真の意義は、戦略の成功としての連合国の第二次大戦「勝利」と、戦略の失敗としての日本の「敗戦」の意味を再考し、反省し、将来への教訓とする上での貴重な第一級資料を提供してくれたことにある。切迫した地球規模での資源の枯渇を考えるとき、「日本は馬鹿だった。悪かった。」式の思考停止に陥って米国へのおもねりから京都議定書拒否を批判することもできない情けない現状に甘んじているような暇は、もう無いのだ。
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