この西部劇はもう今まで何度観たことだろう、ちょっとくたびれた感じのG.クーパーが何とも渋く、花嫁グレース・ケリーが美しい。そしてテックス・リッターが唄う名曲「ハイ・ヌーン」が雰囲気を盛り上げる・・・。
どこか異色西部劇でありながらも、醍醐味ある対決劇を見せてくれているのが素晴らしく、午前10時半に始まり12時にクライマックスを迎えるように作られた、その計算されたように醸し出される緊迫感はしばしば「リアリズム」という言葉に例えられたものだ。
ところで、この映画のもう一つの主役といえば時計だろう。この映画の始まりから終わりに至るまで、さまざまな場所で時計が登場する。理髪店、駅、友人や元助手の家、酒場、街角、ホテル、結婚式場、保安官事務所・・・、主人公ウィルが尋ねていく先々のほとんどの場所に時計が出てくる。時計が無かったのはせいぜい教会と馬小屋くらいだっただろうか(脅威の時計普及率!)。その形も、柱時計、振り子時計、置時計、懐中時計とさまざまだ。そしてそれらすべての時計が正確に時を刻んでいるのである(唯一、街角にあったぶら下げ時計だけが止まっていたようだ)。
この映画の年代は、アメリカ国旗の星が37あったので、たぶんネブラスカ州が加わった後の1870年あたりであろう。もちろんラジオさえ無かった時代の田舎町、人々は一体何を見て、すべての時計をピタリと合わせていたのであろうか。