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真実の一球―怪物・江川卓はなぜ史上最高と呼ばれるのか
 
 

真実の一球―怪物・江川卓はなぜ史上最高と呼ばれるのか [単行本]

松井 優史
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

高校1年生秋、江川卓が最も速い球を投げた、10連続三振の前橋工業戦での新事実!?江川が投げた「真実の一球」を追い求めた!感動のノンフィクション。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

松井 優史
岐阜県生まれ。出版社を勤務にてフリーライター。沖縄を拠点にしながらプロ、アマ問わず野球、サッカー、ハンドボール取材活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 283ページ
  • 出版社: 竹書房 (2009/07)
  • ISBN-10: 4812439086
  • ISBN-13: 978-4812439081
  • 発売日: 2009/07
  • 商品の寸法: 18.8 x 13 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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By TaroTaro トップ500レビュアー
形式:単行本
近年手に取ったスポーツノンフィクションの中では出色の出来といえる一冊だった。

高校時代の江川卓に焦点を絞り、その凄さを(特に高校1〜2年の凄さを)彼と対戦した高校球児(主に地元栃木の高校球児)や対戦校の監督、そして作新学院のチームメイト・当時の監督へのインタビューを通じ描き出した作品。

作品中、江川自身の発言は殆んど紹介されていない。インタビューが殆んど行なわれなかったのではなく、著者は全てのインタビューが終わった後、それらのインタビューを全て江川に見せ(聞かせ)ながら、彼に対し長時間のインタビューを行なっているように思う。そして、その中で印象的な発言のみを作品中で紹介したのだと思う。もちろん、あの江川卓なので、自分の凄さを自分自身の口で語るような発言はまったく無い。江川の凄さを語るのは全て他人だ。

また、甲子園で江川と対戦し投げ勝った、銚子商業土屋投手、広島商業佃投手、そして実力を持ちながら江川がいるばかりに二番手投手となってしまった大橋投手の物語をサイドストーリーとして描き出している。他に言及している方もいるが、このサイドストーリーがこの作品を奥行きの深いものとしている。

江川と対戦した誰もが、当時の彼の凄さを、そしてその彼と対戦した自身の経験を、つい最近の出来事のように詳細に語っている。それに対し、江川のチームメイトだった人達の口は重い。監督でさえそうだ。30年という時を経てもまだ当時のわだかまりみたいなものが残っているかのようだ。

それを象徴するのが、江川とそのチームメイトは卒業後一度も集まっていないという事実。もうひとつは、当時のチームメイトの一人が若くして亡くなったことを著者が知らせるまで誰も知らなかったという事実だ。

40歳台前半の筆者は、全盛期ではないとされるプロ野球投手としての江川卓の姿しか知らない。それでも、投球フォーム、佇まいは怪物のそれであった。100球肩だとかいわれた晩年においてもそうだった。

そんな、筆者にとって「高校時代の江川卓」は伝説の投手だったが、この作品でその伝説に触れることができたように思う。
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16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
まず著者の綿密な取材に感心しました。そして江川と対戦したバッターは、大抵グワーとボールが来るというように擬音を使って話すらしく、著者よると、人は常識を超えた事態に遭遇すると表現の仕方がわからなくなって擬音に頼らざるをえないのだろうとのこと。当時春の甲子園で見た私も同じ意見です。

横浜高校の監督と部長が言うには、松阪など問題にならないとのこと。また後に全日本のコーチなどになった人達も「アメリカやキューバで160キロの投手も見たが、高校時代の江川の方が速かった」と断言しているらしいです。

あと江川の周辺にいた人たちの章もあって、人間ドラマとしても読むに値します。

とにかくスッキリしたいと思っている人達にとってはカタルシス効果もあると思います。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
私が作新学院の小学部に通っていた頃、高等部に江川がいた。
県営本球場のバックネット裏で夏の県予選を見ていた記憶があるが、なにぶん小学生なので、本物の江川がどう凄かったのか、具体的に記憶しているわけではないけれども、打者をバッタバッタと三振に討ち取る江川の姿は脳裏に焼き付いている。

怪物江川のことを書いたものは数多くあるが、この本は2つの点でユニークである。

ひとつは甲子園以外の地区大会の対戦相手にまでインタビューを行っていること。
当時の同世代であった栃木県の高校球児たちが、どう江川を見ていたのか、ただ単に「怪物」に圧倒されていたわけではないことがよくわかる。

ふたつめは江川の物語だけではなく、甲子園で江川に投げ勝った二人の投手、広島商業の佃と銚子商業の土屋、そしてエース級の力を持っていながら江川のおかげで2番手に甘んじた作新の大橋、という3人の物語が、この本を単なる江川物語ではなく、当時の高校野球界の物語として奥行きの深いものとしている。

大橋はアンダースローで技巧派。中学時代県大会では小山二中のエースとして江川の小山中と1−2。決して江川にひけを取らない好投手だった。江川という怪物がいなければ、間違いなく作新のエースとして甲子園をわかしていただろう。この大橋のことを扱った本は寡聞にしてこの本だけではないかと思う。
大橋康延 公式戦記録 11試合 41イニング 自責点1 防御率0.21
見事な記録だ。

広島商業の佃の話も惹かれるものがある。残念ながら佃は2007年に癌で死去しており、著者もインタビューはできていないが、達川をはじめとしていろいろな証言から、佃がいかに凄い投手だったかが浮かび上がってくる。甲子園優勝投手、でもプロには行かず、癌宣告されながら死ぬまで学童野球の監督をつとめた佃の姿に心打たれるものがあった。

そして、広島商業といえば、迫田監督。「栃木にバントすらできない投手がいる」と聞いて、編み出した奇策「スクイズ失敗スチール作戦」は達川の話で読んだことがあるが、この本ではより詳細に語られている。当時は映像記録もなく、江川を目の当たりにしたのは、甲子園の1回戦が初めてのはずで、それ以前からこのトリックプレーを真剣に練習していたのには驚くほかない。
そして4連投の江川に5回で100球を投げさせれば勝機がでてくると、徹底的にウェイティングをさせ、実際、1−1の同点で迎えた5回、部長が「江川104球、おまえらの勝ちじゃ」。それまで呑まれ気味な広島商業ナインに対する周到なベンチワークが江川に対する勝利を導いたといえよう。

話は戻るが、江川が一番速かったのは高校1年〜2年で、1年秋の関東大会での前橋工業戦、4回打者12人に10三振(うち見逃し8)が最速だったという証言が多数載せられている。当時はスピードガンがないのでわからないが、おそらく160kmオーバーだったという。この試合は5回表に頭部にデッドボールを受けて退場。後続が打たれて結局負けているため、江川の本当の姿を見ている人はほとんどいないということになる。

この記録も当書以外ではほとんど語られることがない事実なので、そういう意味でも貴重な1冊と言える。
野球をやる方には是非読んでほしい1冊である。
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