「僕」は、自分を含めたすべてにうんざりしている。だからテキトーにソツなく流している。欲を抱かなければ、こんなふうに結構うまく世渡りしていけるのだろう。一見、達観した老後のようだ。だが、「僕」は奥底の何かを恐れ、直視できずにいる。自分自身にうんざりしている。
それは多分、事故死したかつての恋人「水穂」のせいだ。イカニモな設定、ストーリー。だが、悪くない。会社の上司や同僚とのピリピリした関係がアクセントになっているし、作者が登場人物たちに距離をとっている感じが好ましい。
不器用な恋愛物語を、スマートでエレガントに描ききった。うーん、悪くないよ。
ただ、これが「side-A」ってんだからくせ者だ。さてさて、B面をのぞいてみますか。