私がこの本を読もうと思ったのは、政党は言うに及ばず最近の人士の中にこれといった指導力を持つ人がいないことに寂しさを感じていたからである。この本を読んで、ここに書かれていることを実現できる指導者が今の日本には必要だと思った。
石原氏がここで述べているのは、国家の自立であり、自己の主張であり、更には決断である。それを自覚してもらうために、フォークランド紛争の事例を挙げ、憲法改正や軍備の正当性を語り、靖国神社参拝へのいわれの無い批判に対して持論を述べ、それに関連して、アメリカによる戦争裁判に異議を申し立てている、そして北朝鮮の拉致に対する日本政府の軟弱さを嘆くのであった。どれもこれも私にとっては心強く頼りになる意見であり、自分ではうまく表現できない世の中や世界の理不尽さをきちんとした言葉にしてくれて、すっきりもし、元気付けられた思いがする。
この本では、責任ある男とはどうあるべきかについても持論を展開している。端的な事例として、韓国人留学生の李秀賢さんと日本人の関根史郎さんが、山手線の新大久保駅でホームに転落した男性を助けようとして電車にはねられた事件に触れてこう述べている、「前後のこざかしい勘定抜きに飛び出していく意志の力、自分に属している弱き者の危機には体が先に動いてしまう、そんな本能的瞬発力は男性が持ち得るものであって、女性には稀有のことです。」というものだ。
この本を読んでいるその時まさに(2012年4月17日)、石原氏が尖閣諸島の購入を発表した。これについて、「都民の税金を使っていいのか」、「外交はもっと慎重にやるべきだ、」、「時期尚早だ、」、「こんな大事なことを外国で発表していいのか」とかの識者の批判があるが、そういう人には本能的瞬発力が無い、と石原氏の言葉を借りて私は断定したい。
外交における決断と国内のいわば些事とを比較してもバランスがとれないかもしれないが、石原氏がこの本で一貫して述べていることと、尖閣諸島の買収、は言行一致であり、指導者としての本質はここにあるのではないだろうか、と思った。