出世コースまっしぐらの『県庁期待の星』野村 聡(織田 裕二)は、出世のことしか頭にない。その人間らしさのない野村が、あるスーパーに研修で配属され、民間企業の人間くささの中から大切なものを学び取っていくまでのプロセスを描いている。
私は、『あいさつ』の場面が見ものだと思う。これは、野村の心理を表している。あるシーンで、議会の議長(石坂 浩二)に出会った野村は、腰を90度曲げ、深々と頭を下げる。また、別のシーン、スーパーの朝礼時の声出しでは、「いらっしゃいませ」のセリフに合わせ、すべての従業員が、腰を折り深々と一礼する中、野村は首から上だけを下げる。
相手に合わせて態度を変える、損得勘定でしかものごとを測れない野村だが、これは、個人のことではない。現代社会で働いている私たちのことを指しているのではないか?!
自分の得になることであれば、何でもするが、特にならないことには見向きもしない。
その野村が、「お前は必要ない!」と言われたときに、「俺は今まで何をしてきたのか?!」と、自分自身に問いただす。存在価値が揺らいでしまう。
「あなたが必要なの!」と言われ、腰掛のつもりで入ったスーパーを立て直していく野村。
私は、この映画は奥が深いと感じた。
私は、この映画はすべての大人に観てほしいと思いました。素晴らしい映画でした。