患者、及び患者の家族の視点で読んでみました。
医療関係者ではありません。途中、企業の経営層、マネジャー層にも耳の痛い(役立つ)視点もありましたが、最後に解き明かされる「内発的発展」の証明には、度肝を抜かれました。
看護のエキスパートになるために必要なのは、経験の長さではない。
患者(現場)から学び、意味づけ、知識から智恵へと昇華させる概念化する意識の有無である。いくら経験年数を重ねても、価値を人に伝えられなければ、ただ年数を過ごしているだけ。
帰納法的アプローチを求められるナースの視点からしか導き出せない結論と思う。
「病気はマイナスではない」「病気も、人生において重要な意味を持つ」・・・このことを、患者の夫の手紙で証明して見せている。
病気を何とかするのではなく、病気を受け入れ、病気と向き合うことに苦労している患者に会いに「橋を行き来する」ナースの役割を、患者のセルフケア能力を引き出す行為とも表現している。
著者自身の、体験、観察記録は崇高な人間味を感じさせ、涙腺の緩い人は、タオル無しでは、読み続けられない。
感動の連続ではあるが、自身の体験を概念化する力強さは、慈悲深い科学者の姿勢を感じる。
博学ではあるが博学を感じさせない。知識を知識に留めず、事象を概念化する「道具」として根付かせている。
分野は違うが、介護現場で悪戦苦闘する私の娘が、震え上がるくらい感動したのも無理はない。
医療関係者に限らず、「生命力」「人間の尊厳」に関心ある人に広くお勧めしたい、珠玉の1冊です。