この本は,サブタイトルから分かるように,筆者の紙屋克子さんが,NHKの静かな人気番組「ようこそ先輩」において,故郷の母校(小学校)で行った授業の記録です。
その授業前のインタビューの記録において,紙屋さんは次のようなことを語っています。
〜かつて勤めていた病院で,命は取り留めたが植物状態で生き続けているという患者の家族の『こんなの治してもらったことにならない』という悲痛な叫び声から,『医療従事者が考える治療のゴールと,一般の方たちが考える病気が治るというゴールには,大きな隔たりがある』ことに気付いた。そのことから,看護という仕事には,医師の行う診断や治療とは異なって,患者の生活を支援し,生活行動を回復させるという,看護にしかできない,看護固有の課題と領域があると考えた。患者の「生活支援」こそが,看護職の専門性である。〜
また紙屋さんは,「看護婦に期待することは何ですか?」という質問に「やさしさ」と答える人がいると寂しくなると言っています。看護婦に期待されるもの,それは,「プロフェッションとしての感性」つまり,「単なる人間としての豊かな感性」ではなく,「専門職としての研ぎ澄まされた感性」と言うのです。
私は,医療や看護については門外漢ですが,人間を相手とする仕事に就いている者の一人として,この専門性への厳しさに学びたいと思いました。紙屋さんのことを知って以来,職場の後輩にも,この思いを伝え続けています。
(かつて別の雑誌に,この本を推薦図書として挙げたことがありますが,改めて,この欄にも投稿しましたので,内容に重複がありますが,御了解ください。)