相対性理論解説書なんて、すでに山ほど出ているので、新しい本が差別化を図るのはむずかしい。この本は、新しい切り口を見つけてそれを実現した珍しい本。高校数学と物理の知識から、相対性理論を自分で導いて、しかもそれを人に説明できるようになろう、という本。
相対論を高校数学(中学数学とあるけれど、さすがにつらいのでは)で導くのは、山本義隆が高校の受験数学で相対論まで話を進めた有名なエピソードもあることだし、決して無理ではないが、かなり特殊な話だとみんな思うし、自分でやろうとは思わない。この本はそれを実地にやろうと言う。そして、自分で導くだけじゃなくて、人に話して説明してみようという。そうすることで理解が深まるから、と。
相対論の話としても、そして人の勉強のあり方の提案としても、とてもよい本だと思う。ただ本の中身は、むろん他人にどう話すかというところまでは面倒みきれていない。そうやると理解が深まるよ、というお話。でも、それ自体としてはその通り。頭のいい高校生や大学の輪講とかに使うと勉強になるんじゃないかな。個人的には、マックス・ボルンの相対性理論本で高校時代に勉強会をしたけれど、ローレンツ収縮から先に進めなかった苦い思い出があるが、この本があれば E=mc2 まで到達できたんじゃないか。