- 【 講談社ストアはこちら 】 -累計750万部を突破した大人気コミック『宇宙兄弟』や、『のだめカンタービレ』や『ホタルノヒカリ』といった名作を次々と生み出した雑誌『Kiss』の20周年特集など今注目のタイトルや特集は講談社ストアへ。
登録情報
|
猟銃を持って家を出た男性は見知らぬ男をはねてしまう。その男は・・・!「今見えているシーンは、事件のほんの一部でしかない」そう最初から教えてくれているのに、見事にだまされました。小説の構成が見事です。
しかし、単純にトリックで驚かせたいのではないと思います。事件に関わる人達が丁寧に描かれすぎて、パズルとして楽しむにはあまりに辛いからです。
この構成は、人間の「悪意」と「愛情」との闘いをくっきりさせ、ぞっとさせるためのものではないでしょうか。それで「盤上の敵」なのでしょうね。
人気の「円紫さんと私」シリーズでは、人々が日々抱える、犯罪とも呼べないほど些細な秘めごとを掬い上げてきた北村薫。しかし本作では胸に鋭く差し込むほど痛ましい、れっきとした犯罪を描いています。前書きには「この物語は、心を休めたいという方には、不向きなもの」とあり、普段の北村ワールドを期待して手にした読者は頁を繰るのも苦しく、心に大きなヤケドを負うことになるかもしれません。
副主人公が抱える心の闇の深さを目の当たりにして、読者は口に砂をすり込まれるかのような思いを味わうはずです。その闇には理屈らしい理屈が見当たりません。
この相手を諭すことはかなわず、末永に残された選択は、まさにチェスのごとく相手を徹底的に打ち伏す以外にありません。相手を完膚なきまでに叩きのめすことこそが唯一の目的であるゲーム。そこには容赦のかけらもありません。
これほどの苛烈さを見せる本作は北村薫のこれまでの物語世界とは全く異なるものなのではないか。心をヒリつかせながら読み進める私は、物語が緒についたばかりのところで友紀子が口にする次の言葉を常に思い出していました。
「心があるっていうのは、自分のだけじゃなくて、外の人の気持ちも、想像するためだと思うんです。その筈じゃないか。相手が何されたら嫌かな、とか、そういうことが分かるためじゃないか。それが分かれば、そんなことは出来なくなる。」
想像を絶するほど無残な出来事が引きも切らず人々を襲う時代。そんな時代にあってこの物語は、人類へのかすかな願いを綴っています。
これこそ北村薫が紡いできた物語です。
人間への信頼を捨てない、北村薫らしい物語として、私は本書を読みました。
彼女の顔つきが気にいらなかったのでしょうか?
疑問です。
とにかくすごい執念ですね。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|