カネボウの粉飾決算に加担した公認会計士が所属した中央青山監査法人が、その事件を契機に崩壊していく流れを描かれているのですが、読み進んでいく中で、今日の市場経済において監査法人が大きな意義を持つものとなっていることを感じさせられました。
昨今、虚偽表示などのために、食品メーカーが大きなダメージを受けていますが、カネボウなどに見られる粉飾決算というものも企業イメージを損ね、それを監査した監査法人を、最終的には解散という事態にまで至らせています。
この書で取り上げられている監査法人は、山一證券やヤオハンによる粉飾決算が問題になって以来、監査を厳しくしてきたが、今回の中央青山の件がより一層監査を厳格なものとなることになったことを痛切に感じ取る事ができます。(企業が、誤魔化そうとすれば、担当した監査法人から監査契約の締結の拒否という事態になり、代わりの監査法人が見つからない「監査難民」となって上場廃止の危機にさえ立たされてしまう重大事態となることが語られています。)
また、監査だけでなく、組織論についても考えさせられ面が描かれています。近年、企業合併により生き残りをかけている企業がありますが、その組織が如何に再構築されるかの重要性も考えさせられる面も描かれています。
著者は、共同通信社経済部記者で、USCPA(米国公認会計士)合格という資格の持ち主でもあります。それ故に、詳しくもあり、また、裏事情を把握してもいる。しかし、同時に小説としてのスリル感もあります。また、小泉改革、ライブドアの問題、なども織り交ぜてあり、ここ10年の経済界についての概観もなされています。