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やはり、作者は長編が向いているのかもしれない。50ページ前後の短編のプロットとしては、内容が濃い。表題作の「盗聴」は当初短編であった物を、出版にあわせて中編に書き直したそうだが、それでも内容が濃い、この3倍くらいのページ数でじっくり読んでみたい内容である。よくいえば、内容の濃い短編集といえるかもしれないが、私にはかえって「ごちゃごちゃした」印象を受けた。
表題作が一番長い。短いのは「私に向かない職業」という従来の真保裕一の別面を思わせられる。しかしながら後に出した短編集「防壁」や「トライアル」を見ると秀作だっただけにこれは最初だったのかと言うイメージはある。どっちにしろこれを書くまでは分厚い作で勝負してきただけに、か。「連鎖」も字数制限があったために中途半端であった。最後駆け足になる感じはどうしても惜しい。最後のセリフだけはしっかり言わせたかったんだろうが。
続く「再会」はどんな話だろうと思いつつ読んだらこれはかなりいかせる作だ。いかせるというよりじーんとくる。気持ちの葛藤。過去の彼女は何を考えていたか。今何を考えているのか。最後の二行が、じーんと残る。まあ、これもやや終わりかあ、と言う物足りなさはないわけじゃなかったがこれ以上書きたくなかったか。
「漏水」のミステリ性と完成度では一番高いと思われる。一番いい、って思ったのは「私に向かない職業」であり、話的によかったのがどうしても「再会」になってしまうんだが。この「漏水」は桐野夏生がタッチは違えど書きたいようなものかとも思った。
「タンデム」もパッとしない作である。だが、内容と違い読後感は爽快。「私に向かない職業」はなかなかにしてユニークな作である。こういう真保裕一もいいなあ、と思うな。
全体的にどうしても中途半端なのだが一気に読んでしまったしその技量はあるのだから素直に認めようじゃないか。
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