なぜフェルメールの作品が連続して盗難の標的にされるのか。盗まれた絵画はどのように処分あるいは買い戻されるのか。そうしたからくりを動機・金の流れに注目しつつ整理した著作。絵画盗難に対する認識をがらりと変えてくれる。フェルメール以外の絵画の盗難についても網羅的に説明されている。
特に著者は「盗品を買い集めた地下美術館」の存在に懐疑的な姿勢をとっており、その論証には説得力がある。そのほか盗難によって傷つけられた作品の修復の過程などの記述も面白い。ただ、著者個人の取材によるところが少なく、「絵画盗難の一般論」に終始しているという点でやや物足りない気もする。
盗まれたフェルメール4作品が巻頭にカラーで掲載されており、読者への配慮がゆきとどいている点は評価したい。