山崎マキコが書き下ろしで書いたと聞けば、やはり読みたくなるのはこの作家の魅力なのだ。
今回は盆栽師の仕事を選んでしまったと後悔している22歳の繭子を主人公に、ひょんなことから超貧乏と超金持ちの二重生活になって「自分」を新たに問いただす自分探し。
「自分探し」ものの作品は他にも類似作品が多々あるけど、そこは山崎マキコが描いただけあって武士のような兄弟子松本を絡めることで、主人公繭子も修行僧のような姿勢が出ている。
このあたりのムードだけで終わるのかなと思っていたら、ラストで繭子が気づいてゆく愛や孤独に対する視線が読者である私を切ってきた。
「いくら相手を愛していても何もしてあげられない。愛はなんと無力なのだろう。苦しみを代わってやれはしないから、逃げて道をそれていく私を許した」こんな愛の境地をサムライのように悟ってゆく繭子は、憎しみの根底に恐怖がある孤独も知る。
「そうですね。いつか野垂れ死ぬことでしょう。でもいいんです」と受け止めてしまう繭子の潔さ。
山崎マキコらしからぬ可愛い帯や表紙に戸惑ったが、やはり本の中身は山崎マキコ健在で満喫した。